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「MRI準備出来ました!」
若い女性の看護師がドアをガラッと開けて伝えに来た。
「わかった。じゃあお願いするね。」
歩いての移動は難しいため、車椅子での移動を考えたようで、看護師が凛月を持ち上げて車椅子へ乗せる。
「よいしょ、じゃあ「しんど、さ、?あ"ぁ"ぅ"...だいじょ、、、」
俺を呼ぶ凛月は明らかに看護師の方を見ていて、あぁ俺を認識出来てないんだなと思う。
「私は神童さんじゃないよー。さ、行こっか凛月くん。では、失礼します」
看護師は驚くことなく凛月に普通に接していて、そのまま検査室へ車椅子を押して行った。
他の看護師が、凛月が嘔吐したベッドを取り替えて出ていき、病室は奏斗と俺の2人きりになった。
「凛月くんに嫌われてないみたいでよかったね」
「は?そんなことわからないだろ」
「わかるよ。凛月くんは朦朧としてるけど、必死に慧を探してる。きっと嫌いになった訳じゃないんだよ」
「じゃあなんで出ていったりなんか...」
もし出て行く音に気付けていたら、凛月は今も元気でいられたはずなんだ...
こんな事にはならなかった...
怒ったりしなきゃ良かったなんて、凛月が見つからなかった期間に何度も思った。
「怖いんだ...」
「何が?」
「もし...もし凛月があのまま元に戻れなくなったらって...」
「あー、凛月くんがおかしな事を言ったり、慧じゃない人を慧って言ってること?」
「そうだ。もしずっと、凛月が変なままだったら...もう何を言っても届かなかったとしたらって考えると怖い」
「慧が信じてあげなくてどうするのさ。きっと痛みで朦朧としてたんだよ。痛み止めが効いてる時はちゃんと慧に手を伸ばしてた。すぐ治るよ」
「あぁ...そう、だよな...ありがとう。凛月を支えてやるしかないもんな」
「そうだよ。凛月くんの心の問題は、多分慧にしか治せない。しっかり支えてあげて。しんどくなったら必ず僕に言ってね。...じゃあ凛月くんが終わるまで検査室の前で待ってようか」
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