アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
待機
-
奏斗と2人で検査室の前の椅子に腰掛ける。
このもう少し奥で凛月は検査を受けている。
検査室の外からでも機械の音ははっきりと聞こえる。
機械音に混じって微かに凛月の声が聞こえた。
「今凛月の声が...」
「一瞬聞こえたね。MRIの検査室は一応防音になってるんだけど、それでも聞こえるぐらい大きい声出してるのかな。心配だなぁ。大丈夫かな...」
凛月が大声を出したところなんて見たことがなくて、奏斗の話を聞いて不安になった。
それでも待つことしか出来なくて、早く終わってくれと願いながら座っていた。
1時間程経っただろうか、検査室のドアが開いて医師が出てくる。
「終わりました。凛月くんは病室までお運びしますので、先に戻っていてください」
「車椅子なら俺が押していきますよ?」
「いえ、凛月くんは今気を失っている状態ですので、ベッドに乗せてお連れします」
「気を失ってる?なぜですか...?」
「慧、戻ってよう。それも後で病室で聞こう?」
「結果がわかり次第病室まで伺いますので、お待ちください」
「...わかりました。よろしくお願いします」
俺達が病室に戻って少しした頃、看護師が凛月を運んで来た。
「凛月くん頑張ったんですよー。褒めてあげてくださいね」
そう言って看護師は出ていった。
凛月の目元には涙の跡がはっきりと残っていて、たくさん泣いたのだろうと思った。
「頑張ったな。偉かったぞ」
ガーゼが貼られた凛月の頬に手を当てて、涙の跡を親指の腹で優しくなぞった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
79 / 190