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救出
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一通り帳の体を拭き終わり、拘束も解いた2人は遥の方を見て、次の指示を確認した。
指示を出し終わり、遥は美琴と一緒に部屋を出た。
それに続くように他の部下が出て、小野は帳を医療用カートの上に置いてあったタオルで包み、部屋をあとにした。
帳の軽さは異常だった。
美琴の報告で元々体重は軽いと聞いていたが、今回の件で益々減ったんじゃないかと小野は思った。
「お前、メシ食ってなかったのかよ…?」
眠る帳にそう話しかけるが、当然返事はなく、そうこうしている間に車に着いた。
丁寧に帳を車の中に寝かせ、別の車に小野は乗った。帳の乗っている車には、運転席に西内、助手席に遥が乗り、ベッドのようになっている後部座席に帳が乗っている。もう一方の車には美琴と小野が乗っていた。
「で?結局のところどーなのよ?」
「何がですか?」
「さっきのことよ。君彼のこと見た時固まってたじゃん?」
「っ、あ、あぁ…はい」
「過去のこと忘れろとは言わないけどさ、もうちょっともうちょっと私たちのこと信用してくれてもいーんじゃない?」
「わ、わかってる、んです…でも、俺美琴さんのことは信用できません……」
そう言われ、美琴は小野の方を見て固まった。
そして整理がついたのか、彼女は大声で笑い始めた。
「あっはははははは!!!言うねぇ!!いーよ、しんよーなんてしなくても!!」
「っ、えぇ…でも…」
「いーんだって!私が信用してる奴に悪いのは居ないからさ」
「!!」
普段真面目な顔をしない美琴は、何に関しても関心を持ち、笑顔で一生懸命に取り組む。しかし彼女は裏切られて生きてきたせいか、信用する相手を見定めるようになった。
その彼女が、自身のことを信用すると言った。
その事がどれだけ嬉しいかというのは小野が1番わかっていた。
「生きたいよーに生きな、こーた」
「…っ、あ″い″!!」
涙ぐむ小野を横目に見ながら美琴は外に目を向けた。
もう夜中だからか、高速の下にはチラホラとしか明かりがない。
2台の黒い車は、日本家屋の立ち並ぶ住宅街へと入っていった。
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