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質問
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遥は風呂を終えると、まだ髪も乾かしていないのに帳の方へ向かった。
一方帳は、周りの音が何も気にならなくなるほど庭に見入っていて、目をキラキラさせている。
サッと音がなって遥は襖を開けた。しかしそこには自分に気付かず、いつも美琴が手入れしている庭を見つめている帳がいた。
モヤ…
「?」
胸が少し苦しくなるのを感じた。
「帳」
「!?えっ、えと……」
「どうした?大丈夫か?」
急に背後から澄んだ綺麗な声色で名前を呼ばれ、驚いてバランスを崩し、帳はその場に仰向け寝転んだ。
腰が段差にあたって痛い。
「ぁ、はい」
「そうか」
「ぁの、な、なにか、用ですか?」
「あぁ、自己紹介してなかったと思ってな」
そう言い、遥は帳を抱え込むように起き上がらせた。まだ腰が痛むようで、上手く座れない帳を優しく支える。
「ぁ、ありがとう、ご、ざいます…それで…」
「あぁ。俺は冥善 遥だ。この家は俺の親父が建てた、まぁ、別荘みたいなもんだ。俺の家みたいなもんだから好きに使ってくれて構わない。あーあと、メシの時は美琴っていうお前の世話係の奴が来るから安心しろ」
それに続けて、遥は「何か質問あるか?」と言った。
帳には疑問がいくつかあった。どうして僕を助けてくれたのか、両親はどうしているのか、ちゃんと家に帰れるのか。
それと、姫崎さんはどうなったのか。
帳はその全てを一気に遥へ投げかけた。一瞬戸惑うような、驚くような表情になったものの、すぐに戻り、口を開いた。
「まず俺は元々姫崎家を見張っていた。そんな時にお前があいつらに連れて行かれた。だから助けただけだ。元々姫崎は使用人を奴隷のように扱ってるって情報があってな、今回はそれが高校生のお前になるんじゃねーかって思ったんだ」
嘘だ。
帳を助けたのは、帳が好きだからだ。
「それとお前の両親は大丈夫だ。ちゃんと警察に捜索願を出して、お前を探してる。安心しろ」
これはほぼ本当だ。
正確には遥が彼らに捜索願を出させた。
「痛みが引いてちゃんと歩けるようになったら帰すからしっかり治せ。あとちゃんと食えよ」
「はい…」
これは、どうなんだろうか、本当に帰すつもりなのか、否か。
「んで、姫崎は逃げた。あいつらは姫崎組っつーヤクザだ。この業界でほぼ下っ端だよ」
「なん、か…やけに詳しい、ですね」
「あー…そうだな。…俺らも冥善組っつーので通ってる」
それを聞いた瞬間、帳は身を引こうとしたが、抱えられたままのため、離れることさえできない。
「っ……」
「安心しろ、俺ら冥善組の奴らは姫崎みたいなことはしない」
その言葉を聞いて、帳は安堵の息をもらした。
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