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(暖かい…)
ふわふわとしたものに顔を埋めているうちに目が冴えてきた。
「ん……」
起き上がり、甘い香りに目線をサイドテーブルに移すと、プッチンプリンとココアが置いてあった。
「食べていいよ。」
ひろとさんの存在に気づかなかった俺は、これでもかという程肩を上げて驚いてしまった。
「……俺もやり過ぎた。ごめんね。」
元の優しいひろとさんに戻っていることに安堵し、こっちへ向かってきたひろとさんに軽く抱きついた。
「腕痛い?」
「少しだけ…」
するとなにやら考えたあと、ベットに上がって俺を膝上にのせた。
「はい、あーん」
プリンをスプーンで口元に運ばれ、素直に口を開けると、甘さが舌に広がった。
ちなみにプッチンプリンは俺の大好物だ。
幸せに包まれながらひろとさんにプリンをねだり、口に運んでもらう。
「……もう怒ってない…?」
「ん、次からは一言ちょうだいね」
こくりと頷き、ひろとさんに向き直って胸にすり寄った。
「かわいい」
「…可愛いって言われると胸がきゅーってなる」
「嬉しいんじゃない?」
「…ちょっとだけ恥ずかしい」
ひろとさんの体温に安心しきって体を預ける。
「……秋」
「?」
「俺ね、前に付き合ってた人いたんだよ」
真面目な口調になったひろとさんの話を真面目に聞く。
「………でも自殺しちゃった」
その言葉は、どこか辛そうだった。
「両親から虐待を受けてたって。高3の時に越してきて、最初に仲良くなった俺だから話してくれた。腕のアザも、お腹や胸についた切り傷なんかも見せてくれた。」
俺の頭を優しい手つきで撫でる。
「大学も同じ所に行ったんだけどね。悪いところから大学費用を借りてたらしくて。結局払いきれなくて自殺しちゃった。肩代わりしてた俺が全部返したからあいつが自殺することなかったのに。……でも自殺したのは俺も原因かもしれない。」
「…ひろと…さん?」
きっと彼は気づいていないだろう。
頬には涙が流れていた。
どこか別の場所を眺めるように、俺の頭を撫で続けていた。
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