アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
劣等種2
-
最初に変に感じたのは小3の夏休みだった気がする。
「おーい、キヨ!!サッカーやろーぜ!!」
夏休みの何気ない友達のさそい。
「ん、行く行く!!ちょっと待ってて!!」
この時、俺は少しテンションが上がっていたんだ。
夏だからか、長期休みだからか…
俺は母さんからわたされていた薬を飲むのを忘れていた。
後から言われたことだが、あれは発情期抑制剤だったらしい。
10代後半からの発情期の抑制剤をなんで9歳の俺が飲まされていたのか、いまだによくわかってないけど。
俺はそのまま友達とサッカーをしに公園へ向かった。
──────────────
俺はサッカーが好きだ。
それに俺の性格上、一度集中すると他のことに気が向かなくなる。
だから、分からなかった。
「なぁ、ちょっと休憩しよーぜ」
友達がゲームをとめる。
俺はそこで初めて違和感に気づいた。
「…なんだよ?俺の顔に何かついてるっけ?」
友達が、みんな俺を見つめていた。
いや、それだけじゃねぇ。
ベンチに座って話していた大学生、通りすがりのサラリーマン、他の遊具で遊んでいる子供。
全員が、俺の事を見つめていたんだ。
「な、なに?恥ずかしいんだけどっ…」
小学三年生だ、何がおきているのかも分からず、俺は照れくさくて友達に背中を向けた。
その時後ろから近寄ってきた友達が、 突然俺の首筋をぺろりと舐めた。
びっくりして口をパクパクする俺に、あいつは熱に侵されたような笑顔をうかべて言った。
「キヨって甘いんだね」
その場にいる全員がごくりと唾を飲む音をする俺は確かに聞いた。
「キヨ、俺にも!!」
「わっ!!!」
一緒にサッカーをしていた友達は嬉しそうに俺の首筋や二の腕を舐めていく。
自分を見つめる友達の目が変なのは、何となくこの頃から気づいていたんだ…
友達の行動はどんどん激しくなっていき、俺は腕や肩など、いたるところを噛まれた。
…その後のことはよく覚えてない。
途中で突然意識を失った俺を、小6の友達の兄がおぶって家まで送ってくれたらしい。
──────────────
ぐったりとし、ぼろぼろになって帰ってきた俺を見て、母さんは悲鳴をあげた。
俺は体がだるいだけで特に問題はなかったが、父さんの勧めにより、次の日に病院に行くことになった。
病院の先生は俺をひとめみるととても驚いた顔をうかべて、東京の病院に行くように俺と母さんに言った。
あの時の母さんの不安そうな顔は、今でも頭から離れねぇな…
──────────────
それから3日後、俺は初めて東京の地を踏んだ。
知らない大人がたくさんいて、その人達全員が俺を見ているようで、怖かった。
あの人達にも俺は舐められて、噛まれるんじゃねぇかな、って。
母さんはずっと俺の手を握っていてくれた。
東京の病院は地元よりもずっと大きくて、人が凄い居て、とても冷たかった。
俺達が通された部屋で待っていた男の先生は、俺を見るとまずは年齢を聞いた。
「君、いくつ?」
「9歳…」
9歳ね、
先生は低く呟いて、俺を舐めまわすように見つめた。
蛇みたいな目が、怖かった。
それから俺はたくさん機械がある部屋に連れていかれた。
変なものを身体に色々つけられて、長時間検査された。
母さんとの面会も許されずに、俺は四角い真っ白の箱の中で3日過ごした。
──────────────
3日ぶりに会った母さんは、元気がなかった。
──幽霊みてぇ
いつも俺を怒ってばっかの、怖いけどかっこいい母さんじゃなかったから、俺はそう思ってしまった。
俺と母さんを椅子に座らせて、先生は言いづらそうに言った。
「息子さんは、Ω[r]種だと思われます。」
「…え?」
この頃はちょうどΩ[r]種の存在をアメリカのナントカっていう医療機関が発表した頃だった。
母さんも、Ω[r]種が酷い扱いを受けていることを当然知っていたと思う。
「先生、それまじ!?」
俺が先生に聞くと、先生は真剣な顔で頷いた。
「そう、だよ。君はΩじゃなくて、Ω[r]種なんだ」
「何それ!よくわかんねぇけど、めっちゃかっけぇじゃん!!」
その頃俺は何もわかってなくて、ただずっと笑っていた気がする。
──────────────
病院を出てホテルに帰る時、母さんは一言も喋らなかった。
いつもだったら、凄い話しかけてくるのに。
ホテルの部屋に入って、ドアを閉めたのを確認すると、母さんは崩れ落ちた。
母さんは泣いていた。
「ごめんね」、とか。
「兄ちゃんみたいにαに産んでいれば」、とか。
俺に謝りながらずっと泣いていた。
今考えれば、確かにおかしいんだ。
9歳で、まだガキなのに、発情期が来るなんて普通じゃねぇし。
「…母さん?大丈夫?」
「ごめんね、〇〇。αかβ、せめてΩに産んであげられたら…っ」
「俺はなんともないよ、ねぇどっか痛いの?大人の人呼んでこようか?」
母さんは俺を抱きしめながらしばらく泣き続けて、最後に赤い目で俺を見つめて言った。
「あのね、〇〇。これから何があっても私や父さんはあんたの味方だから…。これだけは約束してくれない?」
「なに?」
「自分の身体、大事にしなよ?」
母さん、ごめんな。
あの約束、もう…
----------------------------
こんにちは、ゆきみかんです!
文中の〇〇っていうのはキヨのしたの名前になります。
友達とかはキヨって呼んでいますが、親がキヨって呼ぶのはちょっと違和感というか…
まぁ、そんなかんじです、
ちなみに、キヨの家族は、両親はβ、キヨの兄はα、キヨはΩ[r]種となっています。
めちゃめちゃ珍しいですね、この家庭…
キヨの兄はキヨのことをただのΩと思ってます。はい。
後、キヨの首筋を舐めた子ですが、この子はαです。なので、フェロモンに惑わされて、キヨが甘く感じられるだけです。
実際、キヨは甘くないです(←当たり前)
長々と書いてしまってごめんなさい!
では、次回!!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 79