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過呼吸4 SideH
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sideH
綺麗なもの、美しいもの。
僕はそれを見るのが好きだ。
例えばそれはルノワールの『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の肖像』であり、
ベルニーニの『アポロンとダフネ』でもある。
出来れば手元に留めておきたいけど、そんなのお金がいくらあっても足りやしない。
だから、手元における綺麗なもの、それを僕はずっと探していた。
丁度高校の入学式で、僕はついにそれを見つけたんだ。
「………ら、…ったく、おい!ラーヒー!!」
「わっ!!なんだぁ、キヨか…」
「はぁ!?なんだってなんだよ、」
つけっぱなしだったヘッドホンがひょいと取り上げられる。
遮断されていた音が戻り、僕も1人の世界から連れ戻された。
パソコンに表示された絵画作品のページを消し、大きく伸びをする。
キヨは取り上げたヘッドホンを耳に当て、少し顔を顰めた。
「フジの実況聞いてんのかよ…」
「BGMがわりねー。キヨのもよく聞いてるよ」
「あ?俺の実況BGMにしてんのかよ、頭いかれてんじゃねぇの」
「キヨのはしーっかり聞いてるけど?」
「あぁ、うん……だろうと思った」
複雑そうなキヨに笑顔を向ける。
だってキヨこそ、僕の見つけた『綺麗なもの』だから。
陶器のように白くてすべすべの肌、ふわふわな髪の毛、すらっとした手足。
何処も彼処も真っ白で、彫刻のような美しさを醸し出している。
世界中のどの作品よりも断然キヨの方が綺麗だと僕は思ってる。
僕しか知らない、僕だけしか気づかないキヨの魅力。
他と同じにしないでよ。僕が抱いてるのは恋愛感情とか、そんな幼稚なものじゃない。
上手く言い表せないけどもっと清らかで、崇高な何か。
綺麗だね、なんて言葉が不意に漏れて、キヨが訝しげに眉を顰めた。
「俺に言ってんのか?」
「もちろん」
「今更だけどお前変なやつだな」
「キヨも大概でしょ」
それもそっか、と太陽の様な笑みがこぼれる。
……あぁ、やっぱりキヨに笑顔は似合わない。
────────────────────
ぱちゅん、といやらしい水音が部屋に響く。
僕の下で、頬を染めたキヨがくぐもった声をあげた。
「ぅ゛♡ぁ、…や、はげし……ッ…ひら、ぁ」
「んふふ、キヨほんっと綺麗…♡」
傷つけないように極めて丁寧に、でも腰の律動は緩めない。
爪痕なんてつけたら大変、白いキヨの肌に傷がついちゃう。
造形美とも呼べる彼の身体に触れる時には、細心の注意を払うべきだ。なのに。
「…気に入らないなぁ」
「ひぁッ!?♡」
至る所につけられている噛み跡をなぞる。
……犬みたいにサカって、そのままべろべろと噛み跡つけて。
僕のキヨを穢さないでくれる?
最年長も余裕ないのバレバレだよ、かっこ悪いな。
キヨのことだからこんなことされても拒絶せずに受け入れてしまうんだろう。
僕のことを受け入れてくれているのと同じ様に、誰でも受け入れる。
…だってそうしないとキヨは生きていけないから。
同じ高校だからずっと知ってるよ、キヨが誰とヤったとか、そうなるようになった理由も全部。
どのキヨでも綺麗なんだろうなと思ってたけど、そんなことない。
あの人に噛み跡つけられて、それでも嬉しそうに受け入れるキヨなんて見たくないし、認めない。
僕だけのキヨにしたいんだ。
「……今キヨを殺せたら、最高なのに」
「あ゛…ッ!?…が、ッ」
細い首に手をかける。
だんだん込める力を強くすると、キヨのナカもきゅんきゅんうねりだす。
ばたばたと暴れようとする手足を抑え、苦しそうに涎を垂らすキヨにキスをした。
背徳感から、背中がぞくりとする。
人形みたいに何も考えてない表情も好きだけど、このキヨも僕は大好き。
僕に縋るキヨなんて滅多に見られるものじゃないでしょ?
涙を浮かべたキヨと目が合う。
「……ひ…、ら゛ぁ」
…殺したいのに、殺せないのはなんでだろう。
「ぉえ゛…ッゴホッ.…ぅ゛う」
ふっと腕の力が抜け、キヨの首から手が離れる。
…また、キヨにやられたなぁ。
これで何回目かな、未遂でおわっちゃうの。
僕と行為に及んでいる時のキヨが1番綺麗だと思うから、いつか、そのままキヨを殺したい。
殺して、自分のものに。
僕が殺したら最後のキヨの記憶は僕になるわけで、しかも僕が裏切られることもない。
他の人、あの人たちでさえ死後の世界には干渉出来ないから、
永遠に僕だけのものだ。
────────────────────
過呼吸シリーズ4段!
前回急ぎすぎてあとがき忘れてましたね。
今回はsideH、ヒラ視点です
1番やばめのやつに仕上がってます。
段々小説が長くなってきているのはお気になさらず。
次回も結構な長編になりそうです!
次はsideFだと思った方、残念。
次はsideDですー。お楽しみにー!!
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