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嘘つきは、僕
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「まさか、お前…マコトか?」
「あ、え…と、うん…そうだよ。久しぶり。」
「…会いたかった。ずっと、会いたかった…っ」
あの日吐いた嘘は、我ながら最低だったと思う。
ただ貴方に近づきたい一心で口をついて出た嘘。
その嘘は、僕を責めるように、詰るように、じわじわと僕の胸を締め付けていく。
後悔したってもう遅い。
もう出会う前には戻れないのだから。
「マコト、帰ってきてくれてありがとう。」
「…うん。」
「俺、すげー幸せ。」
「うん、僕もだよ。」
そう応えて笑うのにも慣れてきた。
幸せ。
貴方の隣にいられて幸せ。
だけど、僕の隣にいるのは貴方だけれど、貴方の隣にいるのは僕じゃない。
僕は自分の吐いた嘘が、キリキリと自分の首を絞める音を確かに聞いた。
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