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プロローグ
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とある世界――
全ての生命はふたつの神によって均衡が保たれていた。
陽を司る神、太陽神・天道(てんとう)。生命に成長と活力と光を与える神、天道はその気質も陽気で明るく無邪気であると言われていた。
その姿は見目誠に麗しく、緩やかに波打つ金色の神は光り輝き、丸く大きな瞳は髪色と同じ色で弾けるような爽やかさを持ち、常に笑顔で立ち振る舞うその姿は正にお天道様そのもの。
相反するは陰を司る神、月神・天満(あまみつ)。天道とは真逆に生命に安らぎと癒し、主に治癒を与える神で、その気質は落ち着きと穏やかさを持ち合わせ物静かであると言われていた。
ふたつの神は同じひとつの生命体からふたつに分かち合われたようで、天満は天道とそっくりでそれは見目麗しく、同じ髪色は真っ直ぐしなやかに伸び、風が吹くたびに糸のように滑らかに揺れた。瞳は柔らかく色香を放ち、常に穏やかな笑みで物静かに振る舞う立ち姿は水面に浮かぶ満月のようだった。
このふたつの神は互いが互いに尊重し合い、愛おしく想い、敬愛していた。その心根の美しさが世界を彩り、四季と正確な時間を生命たちに与えていた。
天道が日の始まりを告げ、光を与える。天満が日の終わりを告げ、癒しを労う。そうすることで生命は健やかに日々を過ごしていた。
このふたつの神が過ごすのは、生命が踏み入れてしまえば命を落としてしまう禁界とされており、雲のような綿菓子のような見た目に柔らかそうな足場の視界眩しい太陽界と、湖のようなほの暗い水辺のようなところにゴツゴツとした星の欠片のようなものが散らばった足場の妖艶な月界に二分されていた。
どちらも見た目に美しく、そこに佇む神の姿が栄える界域で。されどその見た目に反して普通の生命ではそこに足を踏み入れることすらできなかった。何故ならば、そこに一度足を踏み入れてしまうと、灼熱の火焔と、絶対零度の凍結で足ならず魂までも持っていかれてしまうからだ。
されどこの神々。己たちだけでは界域の境目で互いの体に触れ口付けを交わすばかりで本来の任務を果たすことが出来ない気質で、所謂“お世話係”というお目付け役がどちらにも必要であった。
普通の生命にそれを打診しても界域に立ち入ることが不可能、ともあれば。陽気で無邪気な天道が弾けんばかりの笑顔で天満に提案をする。
――天満、新しい生命をつくりだそう――
斬新かつ天道らしい発案に、天満はただただ感服して柔らかな笑みを浮かべてひとつ頷くと、その返事に天道も両手を上げて大喜びし、天満を抱きしめてはまた優しく口付けをする。
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