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七輪
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「こーほーりー。最近帰りは遅いしすげー油っぽい匂いもするし、なにやってんの?」
「うん、絵をね。」
「……絵?」
「そう、絵が完成したらキミあげるよ。」
「あ、ああ。サンキュ、へー。お前が絵ね。……ま、そりゃそうか」
「間宮?最後のほうが聞き取れなかったよ」
「んーん。なんでもねー。絵、楽しみにしてるわ」
「変なの。あ、そうだ、アナタの首筋の歯型が痛々しいよ。薬でも塗ろうか」
「ッッ!全部あき…いや、小堀のせいだろ!どこもかしこも噛みつきやがって!」
アナタが、夜のベッドの上でしかボクの名前を呼んでくれないのは、なにか理由があるのだろうか。ボクがこの想いをちゃんと、口にしないからであることを願うよ。
出会った当初、彼はボクに言った。「あれ。お前一人なの?」と。
その言葉の意味がよく分からなくてね。塞ぎ込みがちのボクは、どう言うこと?とも聞けずにいたのさ。そんな僕を察したのか、間宮はぼりぼりと頭をかきながら「よかったな」と、一言。
一人なの?
そんなことを言われたのは初めてだった。ボクは小堀晃であり、小堀晃でしかない。ボクはボク以外にはなりえない。たとえアナタが、ボクを見ていなくとも、だ。
ねぇ、どうか。ボクの気持ちをどうか受け取ってはくれないか。初めて、ボクがボクのために作った作品を、受け取ってはくれないか。楽しみにしているというアナタの言葉が、嘘でないならば。それはそれは歪な花になるだろうけど、アナタのそばに置いてはくれないか。
告白も上手くできないような、こんなボクの、精一杯の気持ちをね、アナタに捧げたいのさ。
真っ白な、つつじの花をね。
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