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西園寺という男
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人々が退社時刻を迎え、栄えた街中にネオンが灯る夜、容姿端麗な青年が憂い顔で人ごみの中を通る。
都内50階建ての株式会社にいつも妃 真琴は重い足を引きずり訪れる。
怪しまれるからスーツで来なさい。
脳裏によぎる男の声が真琴の足を震い立たせる。震える足で受付まで体を引きずる。
「すみません…あの…西園寺社長に…用事があって来たのですが…」
「あ、ああ…どうぞ////」
やっぱり俺みたいな子会社の新人がこんなエリートの会社に来ていいのかな…
オフィスの最上階までエレベーターが彼を運ぶ間、真琴は男に言われた書類を震える両手で持つ。
「ふぅー…」
真琴の心拍数が階を上がるごとに速く刻まれる。
ポツンと一人で立ち竦む真琴を追い詰めるかの様に、無機質なエレベーターが静かに最上階に到達する。
ポーン…
真琴の目には涙が溜まり、一歩一歩踏むごとに長い睫毛を伝い零れ落ちそうになる。
「…とうさん」
ガチャッ…バタン……
「失礼します。西園寺社長。妃です。」
目の前の高級なスーツに身を包んだ男が、青年に微笑みかける。
「ああ。よく来たな。」
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