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〔 雅 side 〕
部下二人の意見を聞いて 、 俺は不安ながらも早速だが雪を俺の家族に会わせることにした 。
父さんは不器用だから 、 俺の恋人にどう接すればいいか分からずに母さんの隣でアワアワしてるだけだ 。 でも 、 俺の次ぐらいに雪のことを心配してくれると思う 。
母さんは肝が座っていて明るいから 、 なんだかんだで雪も懐くと思う 。 ただ可愛いものが好きな母さんだから 、 テンションの差に怯えないか不安だ 。
雪の笑った写真をメールで送った時 、 通知を切りたくなるほど返信が来たのを覚えている 。
「 雪 、 行くぞ 。 」
平日のど真ん中 、 仮病を使って休みを貰った 。
事情を知っている松田と三浦が上手いこと言ってくれているみたいだ 。
俺の家に行くとだけ伝えたが 、 雪はあまり緊張していないようだった 。
自宅から一時間 、 車を走らせたそこは迷路のようになった住宅街 。 俺が小さい時から綺麗に整備されてあって 、 自治会の年寄りたちが徘徊しているのをよく見ていた 。
近所の目も行き届く 、 安心な場所だ 。
その中でレンガ調の実家を見つけると 、 玄関の前で車を止めて雪と並んでインターホンを押した 。
中からパタパタと走る足音が聞こえて 、 やがて扉がゆっくりと開いた 。
懐かしい 、 母さんの匂い 。
「 あら 、 いらっしゃい 。 早かったのね〜 。 」
少しシワが増えた優しい顔に 、 少しホッとする 。
「 道が混んでなくて 、 思ったより早くなった 。 久しぶりだな 、 母さん 。 」
「 無事に着けばいいのよ 。 あら 、 そちらが … 雪くん? 」
「 …… 雪 、 俺の母さんだ 。 」
俺の隣に立つ雪は 、 目線を合わせるように屈んでくれた母さんをジッと見つめて 、 ふにゃっと表情を緩ませた 。
そして 、 丁寧に頭を下げる 。
「 …… 雪です 、 初めまして 。 」
「 あらあら 、 まぁまぁ 。 とっても可愛いのねぇ〜 。 ようこそ 、 いらっしゃい 。 さ 、 早く上がってちょうだい 。 」
予想外の出来事にポカンとする俺 。
しかしどうしたの?と見上げる雪に安堵して 、 家の中へと入った 。
母さんらしい 、 整理整頓された家 。
リビングに入ると 、 椅子に腰掛けて新聞を読んでいる父さんが顔を上げた 。
「 …… 久しぶりだな 、 雅 。 」
「 久しぶり 、 元気そうで良かったよ 。 」
「 あぁ … その子が 、 雪くんか 。 」
案の定 、 どう接すればいいのか分からずにジッと見つめるだけだ 。
そんな父さんに 、 雪はぺこっとお辞儀をする 。
「 初めまして 、 雪です 。 」
そして 、 母さんにも見せた溶けるような笑顔 。
その笑顔は決して無理に出した笑顔じゃない 。
幸せそうな 、 リラックスした笑顔だ 。
この家に馴染めそうで良かった 。
嫉妬するよりも先に 、 そう思った 。
雪の居場所がまた一つ増えたことに 、 喜ばずにはいられない 。
「 急にごめんな 。 ちょっと 、 頼みがあって 。 」
改まった俺に 、 母さんは珈琲とオレンジジュースを持って薄く笑う 。
父さんも 、 新聞を置いてソファに腰掛けた 。
雪の手を引いてソファに座ると 、 真剣な表情で話を聞こうとしてくれる両親に 、 初めて頭を下げた 。
「 平日 、 俺が仕事をしている間だけ 、 雪を見ていて欲しい 。 」
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