アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
学校一の陰キャが学校一の不良に「諸事情あって」ベタ惚れされた話
第19話 驚愕の
-
「おい佐山ぁ〜!」
教室に入って早々その名を口にすると、ピシッとその場の空気が固まったのが分かった。
なんだかみんな魂が抜けたようだ。様子がおかしい。
首を傾げて自分の席を見ると、前の席にいるはずの佐山の姿が無い。トイレにでも行ったのだろうか?
「なぁ佐山は?あいつ許せねぇ〜」
冗談交じりに隣の席の仲の良い奴に話しかける。しかしそいつも魂が抜けたように青白い顔をしていた。
俺の問いにも答えようとしない。
「……?」
そういえばさっきから、教師すら喋らない。
声が大きいことで有名なゴリラなのになぜだろうか。
「さ、佐山なら……」
絞り出すように口を開いたのは、二列隣の女子だ。いつも俺の隣にいて、特に佐山のことを馬鹿にしている一人。
怯えたようなその様子を見るのは、一週間ほど前“あいつ”に出会った時以来だ。
「佐山なら……天宮と一緒にどこかへ行ったよ」
「は……?」
天宮。
天宮 優。
今しがた俺が思い出していた、この学校では知らない奴がいない不良。
一度だけ関わったことがあるが、あれは最悪だった。
下手すれば殺される────そう思ったくらいだ。
その場に残してきた天宮のことは気がかりだったけど、特に何も無く過ごしていから特に問題はなかったのだと思っていた。
それがまさか────あの時から目をつけられていたのか?
「……そ、それって俗に言う校舎裏への呼び出しとか?ははっあいつ終わったな……」
言いながら、拳を握りしめる。
まさか、そんなことになるなんて思っていなかった。
あいつは人を殺すのすら躊躇しない悪魔だとすら聞いたことがある。
その噂がもし本当なら、今頃佐山は……。
「違うよ」
「え?」
そう言ったのは、クラス委員長の野田だった。
かっちりしたおさげに眼鏡と真面目を体現したような見た目で、佐山がいなければ目をつけられていたかもしれない人物。
けれど見た目と違いハッキリと嫌なことは嫌だという性格で肝は座っているから、どの道的にはならなかったかもしれない。
とにかく誰もほとんど喋ろうとしないこの状況で、彼女ほどありがたい存在はいなかった。
「じゃあ、何があったわけ?」
「いや、なんか……」
あくまでカーストトップの立場を忘れず、尋ねる。
けれど野田にしては珍しく歯切れが悪い。
「……二人って、恋人同士だったみたい?」
「…………はぁ?」
ようやく口にした答えは、予想外すぎるものだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
21 / 71