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学校一の陰キャが学校一の不良に「諸事情あって」ベタ惚れされた話
第35話 喧嘩
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「ほらほら、早く出てこねえとしらみつぶしに教室探して回んぞ〜?」
脅すような声。天宮は例外として、そういった人間と一切関わってこなかった俺にはそれだけで腰が抜けそうだった。
「あいつら……!」
「優、あれって……」
「この前喧嘩売ってきやがったヤツらだ。あいつら、まだ歯向かう度胸があったとはな……!」
向こうでは、天宮と青木が話している。今しがたここから去ろうとしていた俺にはどうすることもできない。しようとしたところで迷惑にしかならないだろう。
「天宮サン!あいつらどうしますか!?」
ドタドタと後ろから慌ただしい足音が聞こえ、数人の男が屋上に駆け込んできた。全員カラフルな髪の色やよく分からない制服の着こなしをしている。
恐らく天宮にコテンパンにされたという不良たちだ。倒されてからは歯向かうこともなく大人しく手下のようなものになっていると聞いていたけど本当だったらしい。
三年生だけでなく、他の学年の不良もちらほらといる。
「ふん、当然受けて立つに決まってたんだろうが!てめえらさっさと行くぞ!」
「優……」
天宮はそう言うと、こちらに向かって走り始めた。
「天宮……!」
思わず、声をかける。
「────どけよ、ザコ」
「っ……」
駄目だ。今の天宮は不良としての天宮だ。
先程までののほほんとした空気はどこにもない。
恐ろしい形相ですごまれ、何も言えなくなる。そうこうしているうちに天宮は俺の横を通り過ぎ、不良たちと共に階段を降りていってしまった。
「……」
先程まであんなにも活発だった青木は、ここにおいては何も口を出さなかった。
「なんで……なんで止めないんだよ……?」
そう言うと、青木は分かりきったような口調で答えた。
「止めたって無駄だよ。優は喧嘩のことについて口を出すと怒るんだ」
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