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『作戦開始5秒前』
4…3、2、1
『作戦開始』
暗く深い夜。俺たちは動く。
『サク、まず塀を越えたら屋敷の1階右から2個目の窓の鍵を壊してある、そこから入って』
「わかった」
足音を極力たてないように走る。まるで登ってくださいといわんばかりの豪華な装飾がしてある塀に足をかけて外から中へ侵入し、そして指示通りの窓のを開けた。
「後は探せばいいんだよね」
『まあそれっぽいドア開ければいると思う。今日は殺していいって』
「麻薬ばら撒いた奴に殺す以外の選択肢とかないから」
『だよね。あ、監視カメラは潰しといたから』
ゆっくりと周りの気配を探りながら歩く。大抵焦ったやつは自分の部屋に籠る。多分2階の、一番大きな部屋にいる。
「通信切る。また後で」
『了解』
有名な病院の院長。医者の癖に裏で麻薬依存患者に薬を回し患者の身内から治療代と騙して金を搾り取る屑。今回は被害にあった患者の身内からの依頼。
階段を上りきってすぐに出会した両開きの大きなドア。
「ここか」
ドアノブに手をかけて一気に開けると濃い血の臭い。瞬間、頭を右に傾け、何かが横切るのを確認する。ナイフだ。この形知ってる。
「よう、元気かよ」
大きな窓から入る月明かりに照らされた赤い髪。嫌な奴に遭遇してしまった。こいつにはいつも邪魔されてばかりだ。
「……またお前か」
デスクに座って足を組んでいる赤髪の後ろで社長椅子にぐったりと動かない塊がいる。また先を越された。あーあ、すげえいらいらする。
「人の仕事とるなよ」
「いやあ、たまたま同じ仕事なんだよこれが。不思議だろ?」
「死ねよクソ」
「相変わらず口が汚ねえな」
髪を耳にかけるふりをして通信機をオンにする。それに相方が反応し、赤髪の声を聞き取り状況を理解したらしい。
『うわ、またRIONの奴か。最近仕事よく被るんだよね。サク、ちょっと待ってて』
「なあ、俺のものになれよ」
「気持ち悪いこと言ってんなよ」
「RIONに入れ」
「何回断れば気がすむんだよお前。俺はRIONには入らない」
こいつは会うたび今の言葉を吐く。何度断っても笑って聞き流しまた同じ言葉を繰り返す。何を自分に求めているのかさっぱりわからない。ふと、自分に影がかかる。まずいと一歩下がろうとしたら入ってきたドアに背中が当たり、ドアノブを握ろうとした一瞬を読まれて手を掴まれる。
「ちっ……!」
掴まれた手を払い。相手の鳩尾に拳を振るう。が、意図も簡単に止められる。舌打ちをすると髪を掴まれてドアに頭を打ち付けられた。
「……うぐっ…!!!」
視界がチカチカと歪む。まじでやりやがったなこいつ。グラグラと回る視界に苛立ちながら相手の足を思い切り踏むと頭を掴む力が一瞬弱まる、それを降りきって相手の肩を掴み自分に寄せるように頭突きをした。
「やっぱ…お前面白いよ」
一歩後ろに下がったら赤髪はけらけらと笑う。その隙に月明かりが差し込む窓へと距離を取った。
「………ほら、来いよ」
ぞわりと肌が反応する。
「お前と殺りあう必要ない」
思わず腰のホルダーにくくってある小刀を取りたくなるが、こいつと喧嘩?が始まると中々終わらない。とても厄介だ。
『サク、20秒後そこの窓から飛び降りて』
「わかった」
「Ⅱ(セカンド)にいるよりお前はこっちにいた方がいい」
「そんなことは絶対にない」
ジリジリと距離を詰められる。時間はあまりないし接触は避けたい。足のサポーターに挟んであるリボルバーを確認する。めったに銃なんて使わないが、しょうがない。グリップを握って赤髪に向ける。
「まじかよ」
後10秒。
「じゃーな、クソ野郎」
頭を狙っていた銃口を赤髪の足元に向けて2発射つとそれに合わせて向こうは後ろに飛び退く。充分に距離が開いたのを確認して今度はそれを窓に向かって全て射ち、亀裂の入ったガラスを思い切り蹴飛ばすと大きな音を立てて崩壊した。
「ナツ!避けて!」
『大丈夫大丈夫、サクもう来ていいよ』
下を確認するとオープンカーが止まっていたのでそれの後部座席に着地位置を決めて飛び降りる。3階だとちょっと厳しかったけど2階からなら飛び降りるのは余裕だ。
「お疲れ様」
「なーんもしてないよ。先越された」
ゆっくり発車したのを確認し、飛び降りた窓を見上げると嫌な笑みを浮かべた赤髪と目が合う。
「俺、あいつ嫌い」
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