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小学一年生の夏休み。
森のログハウスに遊びに行って、親が帰ってこない日はそこで寝泊まりをした。
最初管理人に気づかれたときは逃げようかと思ったが、ログハウスを綺麗にして生活必需品を買ってくれた。
お礼に森へ遊びにいくときは管理人の手伝いをよくした。
でも、母親にその事を気づかれた日から森に行けなくなった。僕を家に一人にし、大きな荷物を持って外から鍵をかけて出掛けていった。
“置いていかないで”
そう言いたくても、数日間殆どご飯を食べていなかった僕の喉から声は出なかった。
一週間経ったその日は、夕立が酷かった。
停電が起き、部屋は真っ暗になり、雷に怯えた。
部屋の隅に縮こまって、ただただ母親の帰りを待った。
2週間経って遂に、僕は横たわったまま動かなくなり、永遠に目を瞑った。
最後に秋と一緒に遊びたかったな。ご飯を食べたかったな。そんなことを思いながら死んだせいか、成仏できぬまま部屋に残ってしまった。
僕の死体が腐っていくところを見てかれこれ数週間。
やっと警察が来て遺体が回収された。
遺体がちゃんとお墓に入るまで自分から離れられないみたいだった。
お葬式は秋の家族がちゃんと行ってくれて、供えられたご飯もとてもおいしかった。
秋の隣に座ると、見えていない筈なのにこっちを見て手をバタバタとさせて笑っていた。
僕が手を伸ばしても届くはずもなく、頭を撫でようとしても透き通って貫通してしまった。
それからと言うものの、ずっと秋の家族を見守り続けた。
秋の成長を見るのはとても楽しかった。
よく食べる子だったからか、少しふくよかな子に育ったが反抗期がほぼ無い子らしく、成績も両親が何も言わなくても良かった。
普通の一般家庭になった家族は、とても幸せそうだった。
僕の実の母親は逮捕され、懲役20年が言い渡された。
これで秋はなに不自由なく暮らせる。
そう思っていた。
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