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バイト(篠村視点)
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カランカラン
「いらっしゃいませー」
「・・・あ、いらっしゃいませー」
ここはとあるファミリーレストラン。
俺と剛はここでバイトをしているのだが・・・
「・・・賢、お客さん来たらすぐにいらっしゃいませって言わないと。掃除に夢中になっちゃって」
「別に夢中になってねぇし!!」
「ちょ、賢!しっ!」
「・・・・・あ」
ついつい声を荒げてしまった。・・・あぁ、視線が痛い。
だが、それと一緒に殺気を感じ、恐る恐る後ろを向くと、ある人がいかにも怒っていますという顔をしてこちらを見ていた。
「・・・・・しーのーむーらー?」
「ひぃぃぃっ!!」
「あらら・・・・」
この人は中村大智。
とにかくいかつい。顔も体格も性格も何もかもだ。
そして俺はこの人が苦手だ。怖くてしょうがない。
でも剛はあの人を「気に入った」と言っていた。・・・解せぬ。
「・・・ちょっとこっちに来い」
「・・・・・・はい」
・・・・・・・・
「お前、やる気あんのか?」
「・・・・・・・・」
「返事くらいしたらどうなんだ?ええ?」
いや、返事した瞬間俺の人生終わっちゃうから!ゲームオーバーだから!
そしてずっと黙り続けた俺に救いの手が・・・。
「たいちゃーん、店長が人手足りないってー」
「ん?そうか、わかった」
「・・・・・・・・」
た、助かった・・・。
この人は高月郁斗。
こうやって俺がピンチの時にいつも助けてくれる超良い人。でも正直「たいちゃん」はないわ。ほんと。
二人とも同じ大学に通っているらしい。
俺が感謝を込めて頭を下げると、高月さんはにこっと笑顔を返してくれた。
・・・・・・・・
「お疲れ様でしたー」
「あぁ、お疲れさん」
俺はバイトの皆に挨拶して、疲れきった身体を動かして店を出た。
・・・あぁ、今日も疲れた。帰ったらすぐ寝よう。
そう思いながらフラフラと歩いているとふと、あることを思い出した。
それは俺がまだバイトを始めたばかりの頃。
まだ身体が慣れてなかったため学校で倒れたことがあり、その時俺を保健室にまで運んでくれたのが小林だった。
そして目を覚ますと、もう夕方で学校は終わっていて、目の前には小林が座っていた。
なんでいるのかと聞いたら、学校が終わったからまた来たと言った。
なんでわざわざまた来たのかと聞いたら、俺はお前の担任だからだ、と、当たり前のように言った。
・・・普通にかっこいいと思った。
それからだろうか。俺が小林によく話しかけるようになったのは。
期末考査もあと少し。
その結果次第で俺は・・・。
言えるのだろうか。
この気持ちを、小林に。
良い結果が取れたら放課後空けといてくれと俺は頼んだ。
それはもちろん、この気持ちを伝える為だ。
前は言うタイミングが悪かった。だからこの気持ちは伝わらずに終わった。
今度はちゃんと言おう。
わからないなんて絶対に言わせねぇ。
好きだって、何度でも言ってやろう。
伝わるまで。
何度でも。
不思議なことに、いつも見ている夜空が今日は一段と綺麗に見えた。
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