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前に進む方法(完)
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世界は再び元に戻るだろう。
恐らく遠くない未来、Ωからの逆襲に痺れを切らしたαが急増する。
群れを嫌うαでも、この状況を良しとしないのは同じだろうから。
αが集えば正直、Ωやβで敵うはずがない。
そんな不安定な世界で
今俺達ができることはーー。
「……じゅん、それから…夏咲くん。
俺がここから出られたら、考えている事があるんだ。」
「考え…?」
「Ω至上主義でも、α至上主義でもない世界。
みんなが笑って、幸せに生きていける世界を作りたい。」
例えば、こんな壮大な話を志貴ではない他の誰かが言い出したものなら
なんの冗談だ、と笑っていた。
けれど、これは志貴だから言える事で……
志貴にしかできない事なんだと思う。
「受けるべき性教育と、注がれるべき愛情をきちんと貰って、
この先俺や…君たちみたいな被害者をもう出さない為に。」
”力を貸してくれるかい?”
志貴の言葉に、俺と夏咲は迷う事なく頷いた。
親友がいる。
そいつの名前は志貴。
幼馴染で、俺と同じα。
そして唯一俺が敵わない相手だ。
……いや、敵わない相手がもう一人。
力の弱いΩでありながら、真正面からαに立ち向かい、
強い心を持つ賢くて不器用な
俺の、愛しい存在。
俺は夏咲を連れて、自宅に戻った。
夏咲は初めて来た俺の家に相当興味があるらしく、
キョロキョロと辺りを見回す仕草が可愛らしい。
「……夏咲。」
「は、い……っ、じゅんさん…。」
「愛、教えるって言ったろ?」
「っ!」
ボンッと音でも出そうな勢いで顔を赤らめた夏咲に、
つい笑ってしまう。
周りに振り回されず、自分と意志をしっかり持った君が。
恐れず一歩を踏み出して、こうして俺達の鎖を解いてくれた君が。
「好きだよ……夏咲。」
守りたいものが出来た。
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