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7番目の死霊魔術師6
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「起きて」
シの声は酷く冷たく聞こえた。
声と共に
バタンっ!
と突然扉が倒れた。
フタが開いたといったほうが正しいかもしれない。
中から両手を胸の真ん中で組んで、目を閉じている青白い男が現れる。
棺の中は外側と打って変わって、
濃赤紫色の高芯剣弁咲きの花をつけた薔薇が鮮やかに
敷き詰められていた。
その真ん中に美しい男が寝ている。
まるで、美術品をみているかのようだった。
みた事もない艶やかな銀髪。
その顔立ちは、まるで中世の彫刻のように美しい。
「…ッ!!?」
その瞬間、全員が息をのむ。
身体に重力のような圧力を感じたからだ。
「ひるむなっ!」
魔術師の言葉に奮迅した警察官は、銃口をシにあわせる。
「よっ」
シは、棺の上からひょいと飛び降りて軽々と地面に着地する。
棺を背にして、着地したシは足でゴンっと蹴る。
「…エサの時間だよ」
少し声の低いシが、そういうと男が目を開く。
「あぁー…」
男の瞳は真っ青で、美しい碧眼だった。
目を覚ました男が両手を解く。
そして、すんすんと高い鼻で空気を吸った後、
端正な顔の眉間に濃く皺が刻まれる。
「臭っ」
不機嫌そうに口が動くと、人とは思えない牙がきらりと見える。
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