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飲んでも飲まれるな
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調子に乗ったことを後悔している。
こんなことになるはずじゃなかったんだ
俺はただ、トキくんの企みをイタズラで返してやろうと思っただけなのに
「あおばさんって、体あったかいね」
「そ、そうかな
あの……降りて…」
俺と向き合う形で俺の膝にちょこんと座るトキくん
「きんにくってさー
どうやってきたえるの?」
「えっ、と…し、仕事してたら…いつのまにか……?」
意に介することなく酔っぱらいワールドを繰り広げるトキくんにタジタジだ
車の中では大人の余裕出せてたのに
「あおばさんおっきいねぇー
おれよりずっとおっきいよねー
なんせんち?」
「187……だけど…」
「えー、ずるい
おれさぁ、ひゃくななじゅうになの」
酔うと舌っ足らずに喋るんだ
可愛いなぁ
「そ、そっかぁ
でも別にそんなにちっちゃくないよ
大丈夫、男の子だし」
「で、おれたいじゅうなくてさぁ」
「そっかぁ」
なるほど俺の話はほぼ聞かないらしい
「からだうすいってよくいわれるんだぁー
ほらぁ、さわってみて」
「!?」
黒いシャツを目の前で捲られる
真っ白な肌と腹の薄い皮膚
肋はぽこぽこと浮いていてちゃんとした生活を遅れているとは思えない
指でなぞるとうひひ、と可愛らしい笑い声が聞こえる
「くすぐったいー。
あおばさんはたいじゅうなんきろなの?」
「……き、90くらいかな」
「いーなぁ
おれもたくましくなりたいー
ね、さわっていい?」
「ぅえ」
唐突で驚く
しかし俺の返事など待つことなくシャツの中に手を突っ込まれる
「わー、きょーきん?すごいねぇ
うでもーあしもすごい!
わー、ふっきんがごりら」
「ご、ごり…」
ぺたぺたと可愛らしい触り方で俺の体の凹凸をなぞる
「ふははふふ……うらやましいなぁー
おれもきんにくほしぃ…
あおばさんのきんにくちょーだいー
なんでもくれるっていったー」
玩具をねだる幼児のように頬を膨らまして眉を下げた顔が本当に子供のようで可笑しい
「筋肉は、ちょっと……」
「えー、おれときんにく、どっちが大事なの?」
彼女か
「え、えと…一緒にトレーニングとかする?」
「ぅんー……うごくのはやだぁ」
「そっかぁ」
なんだろう可愛い生き物が出来上がってしまった
「おれねー、しんわが好きなんだ」
「神話?」
嵐のように話題が変わっていく
「そー
ギリシアのやつ」
「あー、ギリシア神話か
ゼウスの」
「そー、おれむかしさ
気になってそーかんず?書いたんだよね」
「神々の相関図!
面白そうだね」
相当カオスだろう。
「したっけ神々ゼウスのけつえんしゃバカ多いの」
したっけって東北の方の方言じゃなかったっけ
トキくんってどこ出身なんだろう
「あー、確かに
血縁者以外にもゼウスとそういう関係になった少年少女多いよね」
「うしに化けてゆうかいしたりね」
「それ!
まじかよーみたいな」
「よめは怒るし、ばけものだすし。」
「結構ゼウスのせいで大変な目にあってる人多いよね」
「あおばさんっていぬとねこどっち好き?」
再び変わる話題
ついて行こうとか思うのが間違いなんだと気づいた
聞かれたことに答えられればそれでいいんだ
「ん?あ、えっと
甲乙つけがたいよね
んー、どっちかと言うと最近は猫かな」
最近っていうか今日思ったって言うか
「おれねこはだったんだけど、さいきんはおっきいいぬいいなーって思ってる」
「ゴールデンレトリバーとか?かわいいよね」
「あおばさんさいしょ会ったときいぬみたいだったから」
「ぅえ?そ、それって」
俺の事いいなって思ってるってことにならない??
「ねぇおれねむい」
「え、あぁじゃあベッド連れてってあげるよ」
「んぇー、おれたてないよー」
やれやれみたいなジェスチャーをされるけどやれやれって…
「えっと、じゃあちょっと抱えるよ」
「んー」
細い脇腹に腕を回す
自分に密着した部分が酒のせいか酷く熱い
ようやく寝室に着くとベットに下ろしてやる
スースー寝息を立てる彼を背に服を着替える
シャツとズボンは脱いでスウェットを手に取る
ズボンを履き終えたタイミングで腕を掴まれた
「…!?」
「なにしてんの」
「…着替え」
「なんかさむい」
「あ、なんか貸そうか?
大きいかもしれないけどこっちに色違いが…っ!」
引っ張られて布団に倒れ込む
「あおばさんもねなきゃ」
「え、あぁそうだね」
もうなにがなんだかわからない
しっかりと正面に見えるのは柔らかそうなサラサラの黒髪
背中に回された手の感触に悪いことをしている気分だ
頬の感触も指の感触も吐息も肌で感じる
……なにか起こる前に俺も寝よう
考えなければ何も起きない。
肌にかかる吐息のくすぐったさも何も感じるな
俺は石…思考などない……
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