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ぼんやりとした青い灯
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漂うくらげ
青い灯に照らされた横顔に生気を感じなくて不安になる
きっと彼は気づいていないだろう
これは癖なのだろうから
ガリガリと音が聞こえる
微かに漂うのは鉄の香り
「トキくん」
「……ん」
「トキくん血が出てる」
「……え?」
キョトンとした顔でこちらを見られた
そして痛みに気づいたのか自分の左うでを見つめる
「ほら、貸して」
ハンカチを細い腕に巻いてきつくないように結ぶ
「ハンカチ、汚れちゃうよ」
「汚れてないよ
このままじゃ売店に行く前に血まみれになっちゃうだろ?
くらげもこんなに綺麗なんだし
せっかくだから少しでも長くここに居られたらいい」
「…………蒼葉さんって変わってるよね
人の傷好きだし俺に構うし優しいし」
「最初の以外は変だと認めた覚えはないけどな
トキくんと居られて俺は楽しいんだ」
「変わってるよ」
顔を背けてボソリと言われる
トキくんの周りにはあまり人が居なかったんだろう
俺にも居なかったけど
きっと慣れていないから拒絶してしまうんだ
皆トキくんを知ろうとしなかった
勿体ないことだ
「…そうかもしれない
昴や霧以外と話すのも久しぶりだから舞い上がってるのかもしれない。
でもこんなに楽しいのは本当に久しぶりなんだ
トキくんは?」
「……楽しいよ。
だから蒼葉さんが俺に飽きたらさ
また1人になるし、俺はくらげみたいに綺麗じゃないし
だから、こんなに優しくされると不安になるんだよ」
しっかりと見つめられる
眉をキュッと寄せて悲しげな表情をしてる
言葉を一つ一つ苦しげに吐き出す
俺はもっと色んな表情が観たい
だからこの先悲しませるつもりは無い
「次はどこに行く?
今日は水族館だけじゃ時間が余るだろう?
昼も一緒に食べよう」
「そんな迷惑かけるつもりは無いよ。
俺は、なにも…出来ないから」
遠慮はしないって言ってくれたが
不安が大きいのか
ゆっくり安定した関係を築くまでは気にしてしまうだろう
「寧ろ俺を迷惑だと思ってたりしない?」
「…っそんなわけ」
即答に思わず笑みが盛れる
「ははっ、よかった
俺はその言葉を信じてるよ
トキくんも今日だけでいいから俺を信じてみてくれないか」
「……考えておく」
「じゃあ一旦休憩しよう
水族館のカフェってどんなのがあるんだろうな」
「…そうだね」
俺は拒絶されたとしても
離れられないんじゃないか
本当に嫌われても諦められないんじゃないか
心の奥がざわめく
人といて楽しいのは本当に、本当に久しぶりなんだ
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