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異変9
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「これがグランデル王国以外の国での話ならば、陛下の理論は正しいでしょう。しかし、我が国を対象として考えるならば得策とは言い難い。……陛下も十二分にご承知の筈です。シェンジェアンとギルガルドは、円卓の連合国の中では著しく防衛力に欠ける国だ。正直に申し上げますと、我が国の騎士団のみで戦うよりも、両国を守り、協力しながら戦う方が遥かに難しいと私は思います。無論、薄紅には黒が、金には橙がそれぞれ加勢するでしょう。しかし、それを踏まえたとしても、我が国からもそれなりの戦力を派遣せざるを得ない。そしてそうなった場合は、今回の比ではないほどに王都の守りは薄くなる。……少なくとも私がこの国を落とそうとするならば、そう致します」
「ふむ。その考えを根拠に、此度の一件は王都を狙ったものではないと?」
王の言葉に、ミハルトは頷いた。
「隣国で騒ぎを起こさず、わざわざ東の国境のみを狙ったということはつまり、帝国が真に我が国の戦力を遠ざけたいのは西……、すなわち、金の国なのではないでしょうか。もし私の読みが正しく、帝国の狙いがまたもや金の国なのだとしたら、十中八九狙われるのはキョウヤ様です。その国から騎士団を撤退させるのは、愚策と呼べるものなのでは?」
「おい、ミハルト! その発言はさすがに度が過ぎるぞ!」
思わず強い語調で言ったガルドゥニクスを、王が手で制する。そして王は、ミハルトを見て微笑んでみせた。
「いや、さすがは中央騎士団副団長。鋭く的確な読みだ。私もお前の言っていることは全面的に正しいと思う。私がグランデルを落とそうとした場合も、お前と同じ作戦を取るだろう。……そして帝国も、恐らくはそうだ。本気でグランデルの王都を狙うのならば、グランデルではない場所で大事を起こすだろうな。何故なら、連中は王都を落とす際に一番の障害となるのが私であることをよく知っている」
「そこまでお考えになっていらっしゃるのならば、何故戦力をお戻しに?」
ミハルトの問いに、王は少し視線を落として思案するような表情を見せた。
「我々の言う最良の作戦を実行するためには、かなりの戦力が必要なのだ。なにせ最低でも二ヵ国で同時に大きな騒ぎを起こさねばならんのだからな。その上で、加勢に来た国々をも相手取って足止めする必要がある。……そうなると気になるのは、今の帝国がそれだけの戦力を持っているかどうかではないか?」
「……つまり、どういうことでしょうか」
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