アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
異変12
-
「ふむ。グランデルの民はどうにも私を過信していていかんな。私は万能ではないというのに」
「しかし陛下、金の国から欠けることになる戦力分の補強は既になさっているではないですか。それこそ、ある意味補って余りあるほどに」
さらりと言ったレクシリアに、王が苦笑する。そんな王の様子に、ミハルトはほら見たことかという顔をしてガルドゥニクスを見た。
話が纏まったところで、今後の動きについて四人が相談をしていると、慌ただしい音と共に会議室の扉が開かれた。そして、そこから転がるようにして駆け込んで来た文官が叫ぶ。
「国王陛下に申し上げます! デディ騎士団団長より緊急報告! 敵があまりに強く、団員への被害が甚大! 現在はデディ騎士団長がなんとか食い止めているそうですが、それもいつまで保つか判らないとのことです!」
「敵の数は?」
王の問いに、文官がやや青ざめた顔を王に向ける。
「一人、と」
その言葉を聞くや否や、王は椅子を倒す勢いで立ち上がった。
「全ての連合国に緊急連絡! デディ騎士団には私の到着までなんとか持ち堪えるように伝えろ! レクシィ、私が戻るまで、緊急時の全権をお前に預ける!」
そう言い残し、返事を待たずに王は部屋を飛び出した。
グランデル王国における五つの騎士団は、非常に優れた能力を誇っている。その騎士団の団長が苦戦を強いられるとなると、それは紛れもない強敵だ。
勿論、こうなる可能性を予想していなかった訳ではない。だが、予想していた中では最悪の部類に入る事態である。
(こうなってくると、ギルガルドへ襲撃がある可能性は高いか。そのあたりはレクシィが指揮を取って向こうに伝えるだろうが、それくらいのことは帝国側も予想している筈。……恐らく、こちらからの伝達が届く前に、既に何かが仕掛けられている)
それが何かまでは、王にも判らない。ただ、再び大きな事件が起きようとしていることだけは事実だった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
110 / 216