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異変13
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昼食を食べ終え、使用した食器の片づけを済ませた少年は、店の扉に掛けてあった休憩中であることを示すドアプレートを外しに外に出た。
今日の予約は午前中に一件あっただけで、午後の予定は今のところ決まっていない。店じまいをする夕方頃までに客が来なければ、このままのんびりと一日が過ぎていくのだろう。
外したドアプレートを持って店に戻った少年が、店の少し奥まった場所にある大きめの机に向かう。ペンや絵の具が置いてあるこの机は、少年が刺青のデザイン画を作製するときに使っているものだった。
刺青というのは、実際に彫り込む段にいくまでに割と時間がかかるものだ。何度か客と会話をし、求めている刺青のイメージを聞きながらそれをラフ画としてざっと描いてみせる。何枚か描いたラフ画の中から客が納得するようなものを選んで貰ったら、今度はそれを元に、より細部まで描き込んだデザイン画を作製するのだ。特に少年の場合は、そこいらの刺青師では彫れないような細かな意匠を売りとしているため、このデザイン画の段階は非常に重要である。
こういった作業は客がいないときにしかできないのだが、幸いなことに少年の店は大繁盛と言えるほど人が来る訳ではなかったので、今日のように予約客がいないタイミングを狙ってデザイン画を起こすことができていた。
(飛び入りのお客さんが来るかもしれないけど、それまではデザイン画を仕上げちゃおうかな)
作業机の近くにある棚から、描きかけのデザイン画を数枚出す。ほとんど終わりかけのものと、まだ描き始めたばかりのものが混じっているが、このまま客が来なければ、今日中に二、三枚は仕上げられるだろう。別に急ぎの仕事ではないけれど、こういうものはできるときにやっておくのが一番である。
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