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お茶会3
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「ふふふ、これは私のお気に入りのお菓子なんです。昨日帰られたヴェールゴール王も大層気に入られて、お土産にとお持ち帰りになったのですよ」
「そ、そうなんですか」
乾いた笑いを浮かべた少年に、ギルヴィスが少しだけ申し訳なさそうな顔をする。
「すみません。やはり、私と二人では居心地が悪いですよね」
「い、いえ! あの、全然、そんなことは、」
慌てて首をぶんぶんと横に振った少年に、金の王が苦笑する。
「いいえ、ご無理をなさらず。突然お茶のお誘いをしてしまったのはこちらなのですから」
そう言ってやはり困ったような笑いを浮かべたギルヴィスの様子を窺いつつ、少年がおずおずと口を開く。
「……あの、なんで、僕、お茶会にお誘い頂いたんでしょうか……?」
まさかこの幼い王が自分と交流を持ちたくて、などということはあるまい。そう思っての問いだったのだが、金の王はぱちぱちと瞬きをした後、少し困った顔をした。
「ええと……、……実は、お茶会にはもう二人ほど参加する予定なのです。その内のお一方が、是非キョウヤさんとお茶を飲みながらお話がしたいと仰られて」
「……はあ」
「少々到着が遅れているようですが、じきにいらっしゃると思います。……ただ、その方から誰が来る予定かは言わないで欲しいとお願いをされてしまいまして。こう、サプライズがしたいのだとか」
だからこれから来るのが誰なのかは教えられないのだと、金の王は申し訳なさそうな顔で謝罪した。だが、金の王が尊敬語を使う相手で、かつサプライズだのなんだのとを言い出す人間となると、嫌でも察しがつくというものである。
まあ、つまり、
「……もしかしなくても、その二人の内の一人って、ロス、」
「キョウヤ!」
思い至った名前を言いかけたところで、少年の後方から呑気な声が聞こえてきた。声の持ち主が誰かなど、振り返るまでもない。
そう、グランデル王国の国王、ロステアール・クレウ・グランダである。
「……やっぱり……」
とても疲れたような声で吐き出された呟きは、幸いなことに誰の耳にも入らなかったようだった。
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