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穏やかな夜
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それから俺たちは、夕飯を一緒に食べてお風呂に入って、2人でベッドにもぐる。
つい頬が緩んでしまうくらい、静かで穏やかな時間が過ぎていった。
「ねぇ、蛍汰」
「ん?」
「....おやすみ」
「うん、おやすみ」
小さく消えてしまいそうな呟きに、俺は静かに微笑む。
優真は恥ずかしそうに唇をかみ、俺に背を向けてしまった。
ふと、布団の中で触れた彼の手。
俺はその指先に自分の指を絡ませる。
優真の肩がピクンと揺れたのが分かったけれど、なんの抵抗もなく、流れる静かな雰囲気に俺はそっと瞼を閉じた。
昨日も優真と一緒に寝たけれど、昨日とは違う。
ちゃんと、ぬくもりが俺の隣にある。
「おかえり」って言ってくれた。
「おやすみ」って言ってくれた。
それだけで、嬉しくなる。
ふと、学校の女子生徒たちを思い出した。
きゃーきゃーと五月蝿い彼女たちを黙らす為に、バイバイと手を振る。
それだけで顔を真っ赤に染めて更に煩くなった彼女たち。
あの時は理解できなかったけど、多分同じだ。
彼女たちと同じ。
俺は、優真が好きだから、彼の行動や言動に一喜一憂する。
誰かのせいで自分を乱すなんて馬鹿馬鹿しいと思っていたけど、優真のせいでこんなにも心が揺れるのが嫌じゃない。
むしろ、彼を感じているような気がして嬉しくなる。
(好きだよ、優真)
俺の気持ちに無理して応えなくてもいいけど、せめて隣にいてほしい。
ずっと、俺の隣で笑っていてほしい。
多分、俺は一生優真を手放せない。
..俺に好かれてしまった優真は、気の毒かもしれない。
沈みかける意識の中で、少し前に八重が食堂で言っていた言葉を思い出した。
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