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兄さんのバイト12〜永澤視点〜
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『仁、いつもの用意してくれないか?日曜日に取りに行くからさ。』
俊彦からそんな電話がかかってきた。
「ああ、わかったよ。だけど今回はやけに早いな。」
『え?もしかして在庫ない?無理だったら別にいいんだけど………』
「いや、在庫はあるから全然問題無い。」
お前のために、切らさないようにしてるし。
なんて言えないんだけど。
『ならよかった!ちょっと豆分けてやったら味をしめちまったみたいでよ〜俺の分無くなりそうで焦ってんの。』
「…………え?………」
ちょっと待って。
お前いままで人に分け与えたことなんてなかっただろ?!
俺が ちょっとくらいあげろよ って言ったら、気に入ってるから嫌だ って言ってたのに!
誰にあげたんだよ……
しかも自分の分無くなりそうって……
『仁…?おーい。』
「あっ、おう。じゃあ日曜日待ってる。」
『ありがとう、じゃあまた日曜な!』
ーーーーツーツーツーーーーー
俊彦…………………
詳しいことを知りたいっていうモヤモヤはあったけど、俊彦に会えるっていう嬉しさが勝って、すぐに日曜日になった。
ソワソワして窓の外をずっと眺めてた。
「あ」
来た…………。
やっぱ目立つな、赤のスポーツカー。
「俊彦!!!!」
車から俊彦が降りて来た瞬間に声をかける。
「久しぶり。元気だったか?」
なんて聞いてくれる俊彦。
声だけでもカッコよすぎて、やばい。
やっぱり俺はこいつが好きなんだなあと実感する。
「おかげさまで。お前みたいな常連が増えてきて大分経営が楽になったし。」
「ならよかった、目指すは2号店だな」
「はは、頑張るよ。」
なんてたわいもない会話をした。
この程度の会話で舞い上がってしまう俺。
しばらく話し込んで俊彦がふと思い出したように
「仁、頼んでたやつ、貰っていいか?」
と言った。
今回はそれが用事だったな、と俺も思い出す。
「おお。準備しといた。今回は特別早かったな、何かあったか?」
電話でも聞いたけど、もう一回聞いた。
「慎也が欲しがったから」
「慎也って誰だよ」
思わず声が出た。
慎也?男かよ!!!
お前大の女好きだったじゃねえか!!!
「ああ、こいつこいつ。」
そう言って俊彦は、横にいた男の子をズイと引き寄せた。
この時初めてもう1人いることに気が付いた。
「え?あ、はじめまして、望月慎也って言います。都築先生にはいつもお世話になってます。」
焦りながらも自己紹介するその子を見て、礼儀正しいなとか人当たりいいなとかじゃなくて
「へえ。お世話…俊彦が……?」
なんて本音が口からポロっと出た。
「俺は永澤仁。俊彦とは高校時代からの親友なんだ。よろしく。」
ってニコニコしながら返事したつもりだったけど、笑えてたかどうか怪しい。
慎也君とやらは、背はかなり高く、スタイルも良く、そしてなにより顔が整っているイケメンだ。
俊彦面食いだからなあ………
そんなことを思いながらも、俺は慎也君を見ては自分と比べ、悲しくなっていたのだった。
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