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嫌いなやつ1
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生きているとやっぱりどうしても苦手な人に出会うことがある。
付き合いが避けられない以上は、一秒でも関わる時間を減らしたいのに………
「よお、慎也。生徒会長サマなんだって?似合ってんじゃん。」
その苦手な奴に喋りかけられてしまった。
近所のお兄さん的な存在だった、山地優征。
こいつの実習は三週間。
長い。三週間も耐えないといけないなんて…
「………実習は来週からだったはずだよね?なんでいるの?」
その三週間ですら苦痛なのに、なんでもういるんだよ………
「おいおい、冷たいなあ。浩也は可愛く出迎えてくれたぞ?」
そう、こいつのこういうところが嫌いだ。
兄さんの事を可愛い可愛いって…
兄さんのことを狙ってるに違いない。
俺の目の前で可愛い可愛い言いやがって…
あと頭撫でたり抱きついたり…………
思い出しただけで腹がたつな……………
「答えになってない。」
聞いたことに答えない奴は嫌いだ。
「別に母校に遊びに来たっていいだろ?先生もあんま変わって無かったし、校舎も俺が過ごしたあのまんまみたいだ。」
懐かしむように言う。
「あっそう。」
最初からそう言え。
「ホントお前は可愛げないよな〜…。浩也とは大違い。」
兄さんが可愛いのはお前に言われなくてもわかってんだよ。
「あっそう。」
早くどっか行け。いいから早く。
「浩也はあの歳になっても俺のこと優兄って呼んでくれるんだぞ、お前もまだ呼べるはずだ。」
は?優兄って……………天使か!
俺はどう頑張っても兄とは呼んで貰えないもんなあ〜……
「うるさい。」
誰が呼ぶか。
「じゃあ俺のこと皆の前でなんて呼ぶ?おいとかお前とか呼んだらイメージが崩れるだろ?」
呼ぶ機会が無い事を願うよ。
「…………………」
山地さん?いやなんかこいつを尊敬してるみたいでいやだな。
山地先生?これも却下。
優くん?ありえない…………
呼びたくないけどこれしかないだろ。
「優征。」
自分から呼べって言うから呼んでやったのに、口元を押さえてふいっと横を向きやがった。
「どうかした?」
ちょっと間を開けて
「いや、俺の名前覚えてたんだなあ…って思って…」
ってこいつは言った。
「人のこと馬鹿にしてんの?」
昔から嫌っていうほど何回もお前の名前なんか聞いてるっつーの。
「お前…なんでそうツンツンしてんの…」
とか言いながらもニヤニヤしてる顔を見てさらに腹が立つ。
「おっ、いたいたー山地ーーーー」
パタパタと走って来たのは俺の担任。
どうやらこいつと知り合いのようだ。
そりゃそうか、卒業生だもんな。
「お久しぶりですね。元気そうでなによりです。」
猫被りやがって……気持ち悪い……
「ありがとう、そういうお前はイケメンに磨きがかかってるじゃねえか、モテるだろ?」
「いやだなあ、そんなことないですよ。」
なんて、たわいもない話をしてるから場を去ろうとしたのに
「あれ?山地と望月は知り合いなのか?イケメンにはイケメンが寄ってくるんだなあ〜」
とか言って俺に話をふってきた。
そのあと話をするあいだ、俺は猫被り野郎を殴りたい衝動に何度か襲われたが、無事耐えたのだった。
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