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嫌いなやつ7
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ゆっくりと湯船につかり、のぼせる直前に出る。
風呂というのはなんて癒される空間なんだろうか。
「圭吾〜なにか飲み物淹れて〜。」
なにか、って言ってもコーヒー牛乳以外は認めないんだけど……
いつだったかの彼女にそう言ったら『いがーい!ハーブティーとか飲んでるのかと思ってた…なんかオヤジくさ〜い!』って言われたからもう外では言わない。
まあともかく俺は癒されてたんだ。
なのに、
「何でいるんだよ。」
イヤなやつが視界に入ってしまった。
リラックスしようとも出来ないじゃないか。
「来るって言っただろ……ちゃんと材料も持ってきた。」
言ったけど……ホントに来るとは思ってなかったんだよ!!
しかも材料まで持ってくるとか……
変に律儀だよなあ。
「あーもー………わかったよ。作るから待ってて。」
つかこれ何人前。すごい量。
それをもって台所へ向かう。
「俺も手伝う。」
そう言って圭吾が付いてきた。
そもそもお前がアイツを家に入れたのがいけないんだ。
「あの人と二人でお前を待つのは無理…」
そう暗い顔で言い放つ圭吾を見て、アイツ一体何をしたんだ、って思った。外面だけはいいくせにな。
そして色々あって今日は泊まりだと言ったらしい。何があったんだよ、全くそんな予定じゃなかったのに。
「出来た。」
鮭のムニエル。
鮭……俺好きなんだよなあ……
今使わなかった分は明日の弁当にでもしようかな。
「おお、美味そうじゃん。」
意外にも褒め言葉が聞こえる。
「当たり前。」
俺が作ったんだから。
飯も作ってやったことだし、リラックスタイムを満喫しよう。
そう思い自室へ向かう。
「何処に行くんだ。」
なぜか呼び止められた。
「どこって………部屋。」
「何するんだ。」
「何って……寝るんじゃないの。」
何時だと思ってんの?
こんな時間に飯なんか食って…太りやがれこの野郎!
「……………」
あれ、返事がない。大人しい。
とりあえず圭吾を先に部屋で向かわせた。
「俺も泊まる。」
「ヤだよ。布団の予備も一つしかないのに。」
人間ってすごいな、本当に嫌なことには瞬時に対応出来るんだ。
泊まるだと?そんなこと俺が認めるはずがないだろう。
「じゃあ浩也のベッドで寝る。それなら問題ないだろ。」
…………………は?
それこそ認めるわけ無いだろ!!!!兄さんのベッドでお前が寝る?
今日兄さん帰ってくる予定だし絶対に無理。
帰ってこなかったとしても兄さんの残り香が残るベッドにお前を寝かせるはずがない。
俺ですら兄さんのベッドに入るなんてしたことないわ!!!
……シャツはちょっと借りてるけど……
「無い訳ないだろ!じゃあ俺のベッド使えばいいよ……俺は圭吾と一緒に布団で寝るからさ。」
俺のベッドも使って欲しく無いけど、兄さんの使われるよりはマシだよなあ………
そう思って自分の部屋に向かおうとした。
「慎也……」
思いきり腕を掴まれ、引っ張られる。
「……………おい。何するんだ。」
ちょっと痛いじゃないか。
「慎也が俺とベッドで一緒に寝て、あの子には布団で寝てもらうっていうのはどう?」
もうやだこいつ!全く人の話を聞いてない!
「ふざけるな、気持ち悪い。もういい。俺がソファで寝ればいいんだろ!」
「駄目だ!風邪ひいたらどうするんだ!」
「そんなに俺は弱くない!」
人のこと馬鹿にしやがって、ホントむかつくやつ。
二人で廊下で睨みあった。
「慎也まだー?………って、何この状況。」
よっぽど時間が経ったのか、圭吾が呼びにきた。
「ああ、布団が足りないからどうするかって話だよ。」
簡単にまとめるとそんな感じだよな。
「俺がソファで寝るから2人でベッドか布団使って。」
うんって言え。
「いっ、いや俺がソファで寝るよ!な?」
ダメか、、、、
「圭吾がそういうなら仕方ないな。じゃあ俺の部屋にひいてた布団は客間に移動しよう。」
そりゃそうだよな。圭吾だって初対面のこんな感じ悪い人間と一緒の部屋で寝たくなんてないよな…。
俺の中で納得いくようにしたのに、
「そのままでいい。」
とか、余計なことを言うよねほんと。
は??????俺が嫌なんだけど。
「別に大した労力じゃないからいいよ。」
むしろ部屋は違うほうが嬉しい。
「いいから、早く寝なよ。」
「………?」
なんだ……?すごい違和感が……
「とにかく寝るか。」
何かを誤魔化すように慌てているように見えた。
「風呂入ってからじゃないと布団に触るのは許さないよ。」
「はいはいわかりましたよーっと。」
俺の注意に何の反論もせずに上機嫌そうに返事する様子を見て、やはり違和感を覚えたのだけれど
苛立っていたせいか俺はそれを見過ごしてしまったんだ。
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