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閑話;とある男の話
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男は幼い頃からすごく女性に人気があった。
王子様みたい、完璧人間。他人は男にそんな評価を与えた。
だかそんな男の本性はーー…………
******************
男が少年を初めて見たのは、まだ男が幼稚園に通っていたころだった。
少年はその時はまだ赤ん坊で、彼の兄は誰が見ても可愛いと言うような容姿の幼児だった。
男が赤ん坊に笑いかけると、赤ん坊はふにゃりと笑った。
男は初めて人間の笑顔を可愛いと思った。
男が小学生になる頃にはもう、周りの人間は男を褒めたたえ、男が笑ってさえいれば愛情を捧げた。
そんな中で、まだ幼児であった少年だけが、唯一男を悪意を持った目で見てきたのだ。
男は少年に悪意を持たれる原因がわからず少し悩んだが、その瞳が忘れられなくなった。
時が経ち、男は中学三年生になった。
少年はまだ小学生だった。
男は中学生になってからというもの、告白してきた女の子みんなと付き合った。
だがどの女の子とデートしても、キスをしても、セックスをしても、男は少年のことを考えてしまうのであった。
男は思い悩んだ。自分は同性愛者なのではないのだろうか、と。
幸い男は同性からも人気があったため、すぐに相手を見つけて性行為を試してみたが、気持ち悪くなってしまい、それからしばらく同性を抱くことはやめた。
男は決して同性愛者ではなかった。
そして男は高校三年生になった。
少年はやっと中学生になったばかりであった。
少し前から、男は少年の親からの依頼で少年に勉強を教えていた。
少年はたまに居眠りしたが、男はその気持ちよさそうな寝顔を見て、起こすことはしなかったし出来なかった。
少年は自分のことは何も話さなかったので、男は彼の兄から情報を得るしかなかった。
ある日、少年の兄と話していると刺すような視線を感じた。
少年が男を見ていたのだ、憎しみのこもったような瞳で。
男は興奮した。初めてあの瞳を見てからというものの、男は自分に好意を向けた瞳になど興味が無くなってしまっていた。
男は薄々気付いていたが確信した、少年のことが好きだと、彼に性的興奮を覚えるのだと。
あと、自覚していないようだが、少年は兄のことが好きなのだとわかった。
男は少年の兄のことが大嫌いだったが、少年の気を引くために利用した。
やはり少年の兄に声をかけると、少年はあの瞳で男のことを見るのだった。
その度に男はゾクゾクと何かがせり上がってくるような感じがした。
男は少年に憎まれ口しか叩いたことがない。
そして男は大学生になった。
親から人生経験だと言われ、自宅から新幹線で三時間もかかるような遠くの大学に入学した。
そこでも変わらず男は愛されたが、愛など男の欲しいものではなかった。
あの瞳が、あの瞳だけが、欲しかった。
大学生に入学して二年経ったころ、親から帰省の許可が出たため実家に帰った。
男の家と少年の家とは隣だったため、男は帰省してすぐに少年の家を訪れた。
迎え入れてくれたのは少年の兄で、少年は夜になってようやく帰ってきた。
部活をしていたという少年からは汗の香りがした。
やはり少年は男のことなど見向きもせず、隣にいる兄のことだけを見つめていた。
だが男が少年の兄にちょっかいをかけた時だけは、少年はあの瞳で男のことを見た。
男は少年の憎むような瞳が好きだったが、少年が兄に向ける慈しむような瞳も欲しくなってしまった。
男はついに大学四年生になった。
少年は高校二年生、生徒会長をしているらしい。
男は教育実習で、自分の母校でもある少年の通う学校へ行くことにした。
最後に会った時に少年とその兄の電話番号を手に入れたのだが、何度少年に電話しても少年が出ることは無かった。
そのため、少年に連絡しようとしたが仕方なく少年の兄に電話をした。
男は少年の兄がやはり大嫌いだった。声を聞いただけでもイライラした。
そしてついに男は学校で少年と出会った。
少年は成長して、誰が見ても美しいと答えるであろう青年になっていた。
声をかけると少年は、不愉快さを隠そうともしない態度で男に応じた。
男は自分を好意的に扱わない、少年のことをやはり好きだと思った。
少年の学校での生活を見て男はなんだか優越感を覚えた。
だって少年は男以外には仮面を被っていたのだから!彼のあんな瞳を知っているのは自分だけなのだ!
ついでに少年が自分からの電話にだけ出ないという事実を知ってしまったが、わざわざ着信拒否の設定にするほど自分のことを意識しているのだと思うと男は胸が高鳴った。
男はその日少年の家を訪ねた。
友人が来ると言っていたし追い出されないだろうと踏んだからだ。
きちんと少年の好物を手土産として持っていった。
しかし男を迎え入れたのは少年の友人で、あろうことか風呂上がりだったのだ。
その上少年はシャワー中だと言う。
男は頭に血がのぼった。なぜなら男には風呂を貸すような友達がいなかったからだ。
いや、正確に言うといたのだが、それはいわゆるセックスフレンドと呼ばれるものであった。
悶々としているところに少年が夕飯を持ってきた。男は初めて少年の手料理を食べ、泣きそうになった。
もちろん料理は美味しかった、しかしそれがあの兄に振る舞うためのものだと思うと、手料理を食べた喜びよりも苛立ちが勝った。
その後男は少年と同じ部屋で眠ることになった。
少年の部屋には少年の香りが充満していた。
さらに自分と同じ空間に無防備に寝る少年がいるということが、男に理性を失わせた。
男は眠っている少年に、そっと口付けた……
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