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うわ、鳴った
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ニヤニヤしながら、天馬と共に、教室へと足を進めた。
「外に女いるクセに、畠中にまで手ぇ出すって、どんだけ飢えてんだよ?」
いつものように、オレを迎えに来ていた厳兜に、隣のクラスの男が絡んでいた。
女生徒が浮気だと騒いでいた話を聞いていたのだろう。
厳兜は、我関せずというように黙ってスマートフォン眺めている。
「節操なしもそこまでいったら拍手もんだわ」
嫌みったらしく言葉を紡いだ男が、厳兜の横で、ぱちぱちと乾いた拍手音を立てていた。
オレには、何を言ってもいい。
だけど、厳兜を貶すその言葉をオレは許せない。
間に入ろうと足を出そうとするオレの横から、すっとその場へ向かったのは、天馬だった。
拍手するその手を払った天馬は、小馬鹿にするように男を見やった。
「自分がモテないからって僻むなよ。みっともないよ」
首を傾げて見せる天馬に、むすりと顔を歪めた男が反論する。
「僻んでねぇよ。こいつの下半身の緩さの話してんの」
男の言葉を、天馬は鼻であしらう。
「自分がモテないのは、こいつが世の中の女を独り占めしてるからとか、こじつけてるってコトだろ」
ふっと嘲るように笑った天馬は言葉を繋いだ。
「残念だな。お前がモテないのは、その僻み根性のせいだわ」
チッと面白くなさそうに舌を打った男は、何かを閃いたとばかりに、にたりと笑った。
「なに? お前も畠中とヤったの? だから、
あいつのお気に入り、庇おうとしてんの?」
ゲスなニヤつきを見せる男に、天馬の眉根が寄る。
「あいつ男なら誰でもいいビッチなんだろ? オレも一発ヤらしてもおうかな~」
愉快そうに放たれた男の声に、天馬の溜め息が続いた。
呆れ顔の天馬が、口を開く。
「静は、ビッチなんかじゃないよ。てか、静は僕のもんだから。お前になんて髪の毛一本、触らせねぇし」
う、わっ。
今、“僕のもの”とか、言った?!
天馬のコトだから、オレとの関係なんて隠すのかと思ってたけど……。
………やべ。きゅんってっ、…きゅんってなったわ。
見下しの瞳を向ける天馬に、男は面白くなさそうに顔を歪め、視線を逸らす。
オレは、天馬の言葉に溺れていた。
やっと、厳兜がスマートフォンから瞳を上げた。
天馬の顔から、オレへとスライドした厳兜の視線に、自然と片方の口角が上がった。
「お役御免かぁ」
声を放ち、その場で身体を伸ばした厳兜は、ちらりと男へと瞳を向けた。
「オレはストレート。しずとは、そういう関係じゃねぇよ。お前らが、勝手に誤解してただけ。あー、こいつらになんかしたら、全力でぶっ潰す程度には仲良しだから」
じろりと男を睨めた厳兜は、言葉を繋ぐ。
「……てか、そうだな。黄屋が言う通り、お前はその僻んで曲がった根性直さないと女は…ってか男でも無理だわ」
ゲラゲラと笑い声を立てた厳兜は、男を置き去りにし、天馬の手を引きオレへ歩み寄る。
「これからはこいつがいるのね。こんなひよってる男にお前が守れんのか不安ちゃ不安だけど……ま、お幸せに」
ぱんぱんっと天馬の背を叩いた厳兜は、はぁスッキリした~と呟きながら、オレたちを置き去りに帰っていった。
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