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46.高鳴る胸
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…信じられない。
「雑魚だな」
透さんが足元に気絶して横たわる男の体の上に片足を靴を履いたまま乗っけながら真顔で言った。…いや、もうあんた何者なんだよまじでっ!!つぅかどっちが悪者なんだよっ、その態度っっ!
男たちを一瞬で…しかも息ひとつ乱さず…この人って一体…。
「凛人、来い」
ビクッ
「は、はい」
倒れる男たちの屍を避けて僕は透さんの元まで駆け寄る。じっと透さんの顔を見上げ見つめる僕の頬に、透さんの手が触れ、僕はびくんっと体を震わせる。それを見て透さんが目を細める。
「俺が怖いか」
「……、…べ、別に」
基本的にこの人は怖い人だし…今に始まったことではないことだけは確かだ。
「これだから、お前を1人で外にやるのは嫌なんだ」
「…え?」
透さんの頬を触る手が、スっと上がり、僕の髪に触れてくる。
「お前に寄ってくる奴らがいると分かってるから、家に閉じ込めておきたくなる。」
「……と、透さん」
僕の頭を優しく撫でてくる透さんに、僕はぼっと顔に一気に熱を上げ、赤面する。
「ちっ、…イライラする」
「な、なんでっ…!」
理不尽だろ…!何もしてないのに急にイラつくなっ!
「ベタベタベタベタこのクソ共に触られやがって」
そ…んなこと言われたって。
「俺のものに気安く触りやがって…くそ」
「…っ」
不機嫌そうに目を閉じてシワを寄せる透さんの僕の頭に触れる優しい手に、僕はドキリと胸を高鳴らせる。ばか、こんなことで何喜んでんだ自分…この男の所有物なんかじゃないと、キレるところだろ、絶対。なのに…心臓がドキドキする。
僕の為に、僕を助けてくれた、…とそんな都合の良い妄想を抱いてしまう。
「こいつらに何されたんだ。何を言われた」
「…えっ」
何って言われても…。
「見た、ままだよ。この人たちに捕えられて、車まで連行されそうになってた。あとは、ちょこっと悪口言われたくらいかな、はは」
「…クソだな」
そう言って足元に転がる男を足蹴りにする透さんに僕はびく、と怯む。
「あっで、でもっ特に何もされなかったし、叩かれたりも全然っ、…怖かったけど」
視線を落として先ほどのことを思い出し、ほんの少しカタカタと体を震わせる僕を見て、透さんが僕の腕を掴む。僕はそれにパッと顔を上げる。
「凛人、いいか。お前を傷つけていいのは俺だけだ」
「え…」
いや…何でここでドキッとかなる、自分。絶対どきっとする場面じゃない、つーか傷つけてくんなよ…っ!
「俺はお前に手を出そうとしたこいつらを許さない」
ビク
「だが、これ以上やるとお前が怖がるだろうからな。場所も場所だ、悪すぎる。つーかこんなところで拉致ろうとしてんじゃねぇよったく」
…透さん?
スっとズボンのポケットからスマホを取り出す男に僕は目を点にする。何してるんだ…?
「ああ、俺だ。…ちょっと用を頼まれてほしい。ああ、ああ。人数は6人だ。任せたぞ」
6人…?てまさか、この倒れてる人たちのことか?ど、どうする気だ…、もうこんなにぐったりしてるのに、まだ何かする気なのか?だとしたら…ー
「おい」
ビクッ
「…は、はいっっ」
ひいっっ、男が怖すぎて敬語になってしまう。本当にヤクザとかじゃないよな…っ!?
「お前は余計なことグダグダ妄想しなくていいんだ」
!なっ…
「おら、とっとと行くぞ。」
え…!?男に肩を抱かれて、僕は困惑しながら男に付いて歩く。行くって…あんなことがあったのにまだイルミネーション見る気かな。僕もうそんな気分じゃないんだけど…。ちら、と隣の男を見ると、透さんが視線に気づいてすぐ振り返ってくる。
「なんだよ」
「えっ、…いや、どこに行くのかな〜と…」
目線を男から逸らしながら言いにくそうに僕が言うと、男はふと、にっと口角を上げながら言った。
「どこって、ホテルだけど?」
…な、…なにぃーー…っっっ!?
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