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はじめて1
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都内の大学へ進学すべく
高校卒業と同時に上京して早一ヶ月
全てのことを一人でやらくてはいけない生活というのは慣れないことも多く
やっと日常に落ち着きを見出し始めた今日この頃
朝っぱらから一限に必修科目があるオレは
広い講義室の一番後ろの席で机に突っ伏していた。
「はよーっす。あ、林。昨日はちゃんと帰れたかー…って」
「っ!新堂……!!」
「ぅお、っぶねえな…!急に抱き着いてくんな」
見知った顔を見かけるや否やオレは涙目になり、その腰にしがみついた。
授業前とはいえ、普通の講義室に比べて広いこの大講義室では人の目も必然と増えるわけで
オレの奇行へなんだと訝しげに視線を寄越す奴もいるが
今のオレにとってはそんなもの些細な事と感じる程度には焦っていた。
「ちょ、いいから落ち着けって」
「落ち着いてるならとっくに落ち着いてる!」
「いや、なんで威張ってんだよ…」
はぁ、と盛大にため息はついても話は聞いてくれるらしい新堂に
心の中で感謝しながらしがみついていた腕を離す。
空いた隣の席に荷物を置いて腰かけた新堂は面倒くさいと顔に書いて口を開いた。
「で、なんだよ」
「…。」
「はよせい」
「オレにもいろいろ準備があんだよ!」
「うるせえ、聞いてやるんだから早く言え」
「ぐっ……」
オレだけでなく新堂まで声を荒げるものだから
さすがに煩かったらしく静かに予習をしていた数名の生徒に睨まれた。
「オレ……」
新堂とオレは、いわゆる腐れ縁というやつで
中学の頃からの付き合いだった。
なんだかんだ面倒見のいい新堂は何かとトラブルに巻き込まれやすいオレの世話を焼いてくれていた。
時々お前はオレの母さんかと言いたくなることもあるけれど
お互い気を使わずにいられる関係で楽だからという理由で一緒に過ごす時間が多かった。
「オレ、捕まるかもしれない……」
そして、そんなオレは
絶賛最大のトラブルを抱えていた。
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