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妖精になんかならない
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そんなうぶな反応したのはおそらくその場で御幸ただ一人だっただろう。お酒も相まってだろうが今度は女性社員の方からさらに青年に近づいた。今度こそキスしてしまいそうな距離だった。そのまま女性社員は青年と肩を組む。
「そうなの!今日は近藤部長の誕生日でね!あ、あれ?明日でしたっけ部長?」とこちらに声をかける。あまりの声量にその場の全員が一斉にこちらを見る。「今夜の24時で40歳になるよ。だから明日が誕生日かな」と御幸が答えるとあちこちからえー見えない。などお世辞にも嬉しい言葉が聞こえてくる。
「では、こちらは僕からの誕生日プレゼントです。サービスさせてください」そう言って、青年は今度は御幸の方へ向き直した。御幸はそんなの申し訳ないと伝えたが「素敵な一年になるといいですね」と言ってこちらの言葉を遮ってしまった。青年は心優しいが、少し強引な性格なのかもしれない。
「お誕生日のところ、大変恐縮ですが、他のお客様の迷惑になりますので、ほどほどにしていただけますと助かります」と青年は軽くけん制して去っていった。
それは注意というにはあまりに自然に周りを納得させた。奥のざわめきはもうなく気が付けば隣の女性部下も御幸と一定の距離を置いて酒を飲んでいた。
御幸も青年が運んできてくれた生ビールを手に取る。注目されるのに慣れていないため、とてものどが渇いていた。御幸は泡の減ってしまった生ビールを一気に飲み干した。今度は泡の減りなど気にならないほどにキンキンに冷えていた。あまりの心地よさにくらっとした。
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