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「週末泊まりに来いよ。」
「……」
「そんな顔するなって、」
駅までの道のりを送ってもらいながら、俺はずっと黙ったまま歩いていた。
夏の初めの夜の風が、生ぬるい。
アスファルトの地面から、じりじりした照り返しの名残りを感じた。
生ぬるい湿度が、
不貞腐れていじけている自分に似ている気がした。
これじゃガキみたいじゃなくて、ガキそのものだ。
意地と変な知恵ばかりあるから余計、タチが悪いクソガキ。
浅科さんは、全然平気なのかな
もっとしたいと思ってんのは俺だけで。
俺だけ、なんだろうな。
「……にしても、痛ぇな、これ」
ふいに浅科さんが言った言葉に、視線を向けると、シャツの胸元を指でつまんで、複雑そうな顔をしていて
俺はそれを見るなり思わず吹き出した。
「ふっ、…あっははは!」
「…笑い事じゃなくて本当に痛いんだって。」
「…だから言ったじゃん、服擦れると痛いんだって!…だからあんまりいじんなって言ったのに……っ……ふふ、」
「悪ノリした俺が悪かったわ。」
「……あっははは!」
俺の〝お返し〟で、
同じ様に乳首をいじられて、服の刺激に複雑そうにしている浅科さんが無性に可笑しくて、腹を抱えて笑っているうちに
さっきまでのイライラが何処かへ行ってしまって
自分の部屋につく頃には、何にそんなにイライラしていたのかよく分からなくなっていた。
いつもそうやって、結局、どうでもいい事に変えられてしまう。
悶々と悩んでも、あの人と会って話すと、いつの間にか何に悶々としていたのか分からなくなる
自分の事なのに、自分で分からない。
今までの、たかだか20年の経験値では測れない事ばかりで、
自分が内側から塗り替えられていく様な感じがして、落ち着かなさを覚えた。
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