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【side a】
「……この状況で寝るかよ……」
俺は、自分の体の下ですやすやと寝息をたてはじめた顔を見ながら、思わず呟いた。
まぁ、今日うちに来た時点でもう酒が入ってたみたいだし、いつもより飲んでたからな
仕方ないか。
にしても、
気持ち良くイッてそのまま寝落ちするなんて、そんな奴が実際いるとは思わなかった。
どうすんだよ、
俺のこの、痛いくらい勃ってスタンバイしてるやつは。
一瞬、魔が差しそうになって、頭を振り払った。
子どもみたいな顔をして寝息をたててる奴にそんな真似出来るか。
俺は自分に言い聞かせる様に胸の中で呟いて、恵の体をウェットティッシュで拭った。
この一回り歳下の若い恋人と〝付き合う〟事になって数ヶ月、いろいろな事に戸惑うばかりだった。
気が強い割に打たれ弱い、不安定でアンバランスな、
口には甘い、劇薬の様な歳下の男。
そもそも、生まれてこの方、男とそんな仲になるなんて考えた事も無かった。
はっきり聞いた訳じゃないけど、バイだと言う恵は、俺の他にも経験がある様だった。
それがまた、俺を複雑な心境にさせた。
恵の慣れている様な雰囲気に、勝手に嫉妬していた。
俺以外の奴の足跡を見せつけられる気がして。
「情けないな、本当」
本心が思わず口から零れた。
自分の事は棚に上げて、相手には無垢な理想を求めるなんて、男の愚かさの骨頂だ。
嫉妬とプレッシャーでがんじがらめになって、こいつから逃げていた。
終電なんか、半分口実だ
自信も余裕も無い、情けない本性を隠すための。
そういえば、
今日は来るなり浮かない顔をしていた。
晩飯の時も、
ベッドですら、ふいに浮かない表情をしていた。
何がお前をそんな顔にさせるんだ?
触れるだけで、考えてる事が分かればいいのにな
そしたら、何も間違えなくて済むのに。
俺は、すやすやと眠る恵の頬に手を添えながら、ぼんやりとそう思った。
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