アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
決めた
-
体育館までついていく。
こいつは怯えきっていて、なにかするとは思えないが、追い詰められると人は思いがけない行動に出ることもある。
窮鼠猫を噛むみたいな。
でもま、大丈夫だとは思うんだ。思考も追いついてないし。
財布を奪われたところで誰か呼ばれれば面倒なことにはなるし、少なくとももう近づけなくなるだろう。
そこまで考えられないくらい怯えるのは、なんでだ?
そんなこえぇか?
自分の怖さに気づかないまま、俺はその体育館に着き、捕まえたこいつの友達を、今度は連れていく。
いつもの、猫かぶりで。
「お、おい、コウスケ、ちょっといいか…………?」
「どうかしたのか、シュンタ」
「あ、あの…………」
「ちょっと話があるんだ。いいかな、コウスケくん」
得体の知れないものを見るような目で見るコウスケとやら。
まぁ、実際そうだけどな。
怪しい目を向けながらも、俺と一緒についてきてくれた。
んで、またさっきの路地。
「おまえ、テツヤの事件のこと、なんか知ってんのか」
急に態度を変えた俺に驚いたようで、目を見開き、そして睨みつけてきた。
「おまえ、黒子のなに?」
「兄貴だ」
「兄貴? そんな話、聞いたこと…………」
「ちいせぇころに両親が離婚してよ。別々になったんだ」
そう軽く説明し、もう一度言う。
「で、俺の弟になにがあったか、知ってんだろ? 話せ。さっさと」
「し、知らねぇよ」
顔も目も逸らす辺り、なにか知ってそうだな。
仕方ない。いつもはバスケ以外でやることなんてなかったんだがな。
「へぇ〜、そうか。じゃあ、いいや」
「え、いいのか?」
少し安堵の色を見せるそいつに、言う。
「あぁ、いいさ。その代わり…………体に聞くことにする」
「なっ…………!?」
ゴンと腹を殴り、コウスケとやらはくの字に体を曲げた。
「うっ…………」
「俺は悪童って呼ばれててさ。バスケやってるなら、知ってるだろ」
崩れ落ちたそいつの耳元に口を近づけ、にやりと笑う。
「無冠の五将、悪童の花宮真だ」
「あ…………」
「さて、いまこの場で、テツヤと同じように選手生命を失うか? 手っ取り早く、目を抉ればいいかな?」
「ひっ……!」
目に指を近づける。
ゆっくり、
ゆっくり、
ニヤニヤしながら近づける。
ゆっくり、
ゆっくり、
ゆっくりと。
「わ、わかったから、止めてくれ! いや、やめてください…………」
「ほら、話せ」
「目をやった奴は知らない。けど、いじめをやったのは知ってる」
「だれだ」
「最初は、バスケ部の一部。それから、バスケ部全員がいじめ初めて、最後には…………学校の生徒全員が、いじめてた」
「……………………」
呆気に取られて、言葉もでない。
学校の生徒全員が、いじめてた?
なんだよ、それ…………。
「あ、あいつ、影が薄くて、一人じゃなにもできないくせに、キセキに可愛がられて、あいつ…………あいつ…………」
歪んだ笑みを浮かべて、そいつは笑う。
「あいつが悪いんだ……全部……全部……。あ、あはははは……あはははははははははははははは!!!!!」
目障りなその笑い声を、俺は止めるために膝を思い切り踏みつる。
「あ、あああ"あああああああああああああああああ!!!???」
変な方向に曲がった足を抱え、喚くそいつを冷めた目で見つめ、俺は言う。
「いいか。俺の家はそれなりに権力持ってんだ。だから、なにをいっても握りつぶせる。だから喚くな」
俺はこのときに決めた。
すべてを壊し尽くすことを。
復讐を。
スベテコワシテヤル。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 116