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お話します
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タンっ
飛び降りた音がして、足音が近づいてきます。
「いやぁ、今度の練習相手がどんな人たちなのか興味あって、ここに来たんすけど…………まさか、あんたに会うとわね」
黄瀬くんの声が低くなる。
そして、まるでゴキブリに対するような声音で、
「お久しぶりっスね、黒子くん」
そう言った。
怖くてビクついたあと、震える声を抑えて答える。
「あ……、お久しぶり……です。黄瀬くん」
「名前、呼ばないで欲しいっスね。虫酸が走るっス」
「あ…………、ご、……ごめ……なさ……」
「もう喋んないで欲しいっス。最低野郎が」
「あ……うあ……ぁぁ……」
息が……っ、助け……。
「おい、止めろよ! 元チームメイトだろうが!」
この声は……火神くん……?
前に立って、火神くんが僕を庇ってくれたようです。
それに少し、ほっとします。
「やめて欲しいっスね。元とはいえ、こんな奴とチームメイトだったなんて…………、ましてや、尊敬して、友達だったなんて、反吐が出る」
「なんで……こそまで……」
「なんで? そんなの、裏切られたからさ。その目も足も、自業自得だ。罪の代償なんスよ」
「裏切り……?」
「詳しいことは、そいつに聞けば?」
黄瀬くんはそう言って、体育館を出ていった。
「なんなんだ……?」
「ごめんなさい。ありがとうございました。火神くん」
震えが、少し引いてきました。
「なぁ、黒子。一体、なにがあったんだ?」
火神くんに、そう問われます。
まぁ、聞かれるとは思いましたが、どうしましょう。
「嫌だったら、言わなくてもいいわ。でも、知る権利はあると思うの」
監督の声は、真剣そのものです。
……これは、僕の問題です。
だから、本来話すべきではないんでしょう。
けど、監督の言う通り、皆さんには知る権利があるのでしょう。
僕はこのチームの仲間で、これから共に戦うのだから。
だとしたら、言うべきだろう。
「…………わかりました。僕が知る限りのことを、お話します」
意を決して、僕は皆さんにこれまでのことを話した。
なくなった目は涙を流す代わりに、ジュクジュクとした痛みを伴っていた。
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