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悪いのは
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気持ちが晴れないまま、俺は水道水を頭にかぶっていた。
いつまでもこうしているわけにはいかないからと水を止めて、顔を上げる。
すると、タオルが投げられてきた。
「お久しぶりっすね、緑間っち」
タオルを寄越してきた緑間にそう言う。
カエルの玩具みたいのに、指のテーピング。
まるで変わっていない。
「どうかしたんスか? 試合見に来るなんて」
「暇だったからな。見に来たのだよ。しかし、まさか黒子がいるとはな」
歩いていく誠凛。
その中に、車椅子ごと連れていかれる黒子くんの姿。
前よりも笑顔がなく、前よりも怯えるという表情がある黒子くん。
「……ねぇ、緑間っち」
「なんだ」
「本当に、黒子くん…………だったんスかね」
「なにがだ。主語を言うのだよ」
「中学のときの事件全部、犯人は黒子くんだったんスかね」
「なにを言うのかと思えば、そんなことか。黒子自身が認めたのだ。本当もなにもないだろう」
「そうなんスけど、もしあれが芝居だったら…………」
「なぜ黒子が自分の立場の危うくなるようなことを芝居してまでいう必要があるのだよ」
「それも…………、そうスね」
「また騙されでもしたか? いい加減懲りるのだよ」
「…………………………………………」
なに、黒子くんを庇ってるんだよ。
あのとき、あれほど後悔して、もう信じないと誓ったのに。
もう騙されないって、決断したのに。
また繰り返すところだった。
そうだよ。
悪いのは黒子くんだ。
悪いのは………………………、
誰?
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