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たとえ僕が -白川side- 1
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僕が高校を地方にしたのはあまり理由はない。
ただ、なんとなくだった。
東京でもよかった気もする。
でも、あまり東京にいるとボロがでそう。
せっかくキセキをバラバラにしたんだし、僕がやったことがバレて一致団結なんてムカつくじゃん?
だから、いまはこれでよかったと思う。
この高校も、ある程度は僕の思い通りになる。
男子にも女子にも慕われ、先生たちにも頼られる。
お願いすれば誰かが叶えてくれる。
満足のいく毎日。
――――の、はずなのに。
なにかが物足りない。
やっぱり、黒子みたいな奴いないとつまらない。
小学校でも中学校でも僕はみんなに好かれた。
なのに、親の仕事の都合で転入した先で、思い通りにならない黒子にあった。
あのキセキすらも騙せたのに、あいつだけは思い通りにならない上に、僕の笑顔を仮面だのと言いやがった。
だから、潰すことにした。
ほんの興味本位で嵌めることにしたのだ。
最初はキセキも黒子を信じた。
けれど回数を重ねる度に、キセキはどんどん黒子を信じなくなっていった。
挙句、裏切り者扱いして、虐め始めた。
傑作だったさ。
仲間仲間だと言っているわりに随分と脆かった。
結局、人間なんてそんなものだ。
でも、黒子は違った。
どれだけ虐めてもキセキを信じるだの、僕を助けたいだの。
あいつは僕の瞳は泣きそうだとかいいやがる。
ふざけるな。おまえになにがわかる。
ムカつく。
でも、目を抉ったらさすがになにも言わなくなった。
ざまぁ。
でも、暇だ。
いないかな、黒子みたいな奴。
「有村ー!」
「んん? なに」
「一緒に帰らね?」
「別にいいけど」
目の前を、ふたりの男子が通り過ぎる。
そのとき、ひとりがこちらを見た。
「あ、白川! おまえも一緒に帰る?」
「今日はまだやることがあるんだ」
「そうなのかぁ。残念だなぁ。一緒に帰りたかったなぁ」
「あはは、ごめん」
なんで、おまえなんかと。
そう思ってると、有村とか呼ばれてた奴と目が合った。
そいつは、まるでなにもかも見透かしているかのような目をしていた。
それはあのときの黒子の目と重なる。
「帰らないならおいてくぞ」
「ちょ、待ってよ有村ぁ!」
去っていく彼の後ろ姿を見ながら、僕は笑う。
「みーつけた」
あいつにしよう。
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