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正義感
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side 矢代
「鉄メンタルが倒れたぁ!!!?」
「声がでかい」
「あっ」
だって今、………。
顔色悪かったけど…倒れるくらい働いてたのかよ?
「最後に休んだのいつ!?」
「…分からない。今は立て込んでいてなかなか休めない」
少し考えてから言った桐生先生の様子を見るに、この人も相当休んでないんだろうな。
「あの人体力だけは人一倍なところありそうなのにな」
「ん。今回は体力というより精神的負担が大きかったのかもしれない。それはともかく。隼人に会うんだな」
院長として鉄メンタル先生の気持ちを汲むように話す桐生先生。
鉄メンタルっていっつもヘラヘラしてるけど、久保先生とかには本音で話したりしてんのかな。
なんか、自分の気持ち全部隠して取り繕って。そんなんめちゃめちゃ疲れるじゃん。
今度、あの人の…飯窪先生の話も聞いてみよう。
いつもどんな風にどんな景色を見てるのか、聞こう。
「あの…桐生先生」
「なんだ」
隼人の病室へ向かう途中、ケントが桐生先生を呼んだ。
この2人も入院していた当時は接点なかったよな…。
「さっき、飯窪先生は忘れろって言ってたんですが。魁くんっていう患者さんがいるんですか?」
あぁ、言ってたな。ボソボソ小さい声で。まるで心の声筒抜けーみたいな言い方だったっけ。
本当に心の声だったみたいだけど。
「あぁ。いるが?」
「…お父さんがどっか行っちゃったって」
「それ以上は患者の個人情報だ。悪いが忘れてくれ」
…だろうな。
まぁこっちも知らない人の話聞いたってなんもないしな。
「その…魁くんの名字、皆川じゃないですか?」
………?知ってんの?
「……個人情報だ」
その反応、バッチリ答えだけど!
わっかりやす〜。
「…知っている人かもしれません。皆川魁のことだったら、2年くらい前から連絡取れてなくて心配してたんです。先生っ!魁がここに入院してるんですか!?」
「…………」
立ち止まり、一呼吸。
「…隼人に会う前に、会っていくか?」
桐生先生が止まったのはある部屋の前。
ちょうど、【皆川 魁】と書かれた部屋の前だった。
「…え?ここ、精神科?てことは別人…?魁は、だって、心臓が悪くて…」
ネームプレートを見てうろたえるケント。
「…お前の知っている皆川魁だ。手術を繰り返すうちに精神を病んで今はうちで治療している」
「…………そんな…。こんなところで、会えるなんて」
ケントは心の底からその魁って人を心配していたんだろう。
嬉しいような、複雑な表情をしている。
「ただ覚悟してほしい。ここにいる患者はお前が知っている当時の人柄とは大きく違っているかもしれない」
「……分かりました」
覚悟を決めて、頑丈にロックされた鍵を開け、部屋の中へ入った。
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