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ランドリーサービスなるものの世話になった俺達の服は、丁度昼を過ぎた頃にご丁寧に畳まれた状態で返却された。
どうせすぐに着るのだから
なんだか申し訳ないが。
「じゃ、早く出ますよ。」
「うん……あ、ちょあっ。」
「はい?」
そこで俺は、痛恨のミスを犯してしまったことに気づく。
家出る時金入れてくんの忘れた…。
生憎カードの1枚も持ってないし
人の世話になってといて、流石に格好悪すぎる。
「…出たら即返すんで立て替えてもらえませんか。」
「こういう時だけ敬語使うのはクズのする事だって習いました。」
「ねえマジだから。本気だから。」
今朝から何回この子のため息を聞いたことだろう。
取り込んだ空気を全て吐き出す程の深いそれを掻き消す精算機のアナウンス。
週末の宿泊ともなれば、表示される金額もなかなかのものだった。
…洗濯代も込みだしな。
年齢はさておき、自分よりも背の低い子の財布から抜き出される札を目にすれば
この上ない罪悪感に苛まれる。
不運の連鎖ってこういう事だ。
すっかり天高く昇った太陽に目を細め、ぐるりと辺りを見渡すが
今日はことごとく運に見放されているらしく
コンビニはおろか、スーパーやATMの置いてありそうな建物すら見当たらない。
勘弁してくれ。
自分のいる場所すらわからないのに。
何より、斜め下からの目線が痛い。
「出たら返すって…。」
「返すための機械持って来いよ。」
「……うざ。」
でっすよね〜。
渋々充電ギリギリのスマホでマップを開けば
そこは駅から遠く離れた港のホテル街だった。
車も無いのに、ここから歩いて…向かうほど若くも、無い。
ああもうマジでついてない。
俺のスマホを覗いた彼もまた、呆れたように天を仰いだ。
「タクシー呼びますけど。…雅樹さんも乗りますか。」
「乗せてください後で払うんで。」
「クズの敬語は信用しません。」
「ねえマジだから。お願い。」
名前も教えてくれないその子への借金は増える一方だ。
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