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椎葉さんのキスは微かに煙草の味がした。
「んっ…ぅ…」
どうしよう。この人めちゃくちゃキスが上手い。
椎葉さんの舌の動きは巧みだった。いつものおじさんたちのように俺の口の中をべろべろ舐め回すだけではなく、確実に性感を高めていくようなそんな動き。彼の舌が丁寧に俺の歯茎を辿り、ねっとりと舌を絡ませられる度に体が跳ねた。
「…キスが好きなのかな?」
「や…ちが……」
「ふぅん。その割には気持ち良さそうな顔をしているね」
両手で頬を包まれ、自然な強制力によって椎葉さんと目を合わせられる。そんなことを言う椎葉さんの目だって十分に熱を帯びているじゃないか。俺だけが雰囲気に負けているわけじゃない。
「君はどんなのが好きなんだい?」
「え?」
「だから、どんな風に抱かれるのが好きなの?」
「ど、どんなって……」
そんなこと聞かれても困るし、答えていいのかわからない。たくさんのお客さまを相手にしてきた分沢山のプレイを経験した。痛いのも、恥かしいのも。だけど、俺は……
「…の」
「え?」
「普通の…がいい、です」
どうせ抱かれるなら痛かったり苦しくない方がいい。殴られるくらいならきつく抱き合って、 欲をぶつけられるような行為の方がまだ耐えられる。
俺の体はただの商品。お客さまに快楽を提供するだけの物だとわかっていても人間としての自覚だけは譲れなかった。俺たちの行為には何の感情も伴わないとわかっているけど、それでもああして普通に抱かれている時だけは自分がまだちゃんと人間なのだと思えた。
「そうか。じゃあ初めては君のリクエストに応えよう」
「え、いや…逆です!俺が椎葉さんのリクエストに応えなきゃ…っ」
「しーっ、いいから。私の好きなようにさせてくれないか」
なかなか納得しない俺の唇に椎葉さんの人差し指が添えられ、これ以上の抗議を封じられた。
そんな…お客さまの要望に応えるのが俺の仕事なのに…
「ほら、眉間にシワが寄ってるよ。可愛い顔が台無しだ」
「……」
「じゃあそろそろ君を抱かせてもらおうかな」
そう言い切るのと同時に俺の背中がベッドに沈む。覆い被さって俺を見下ろす椎葉さんは、やっぱり綺麗な笑顔を浮かべていた。
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