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与えられた離れは簡易キッチンが付いている畳の部屋と、ふすまで仕切られた寝室の二部屋続き。ふすまの向こうの寝室には和室によく馴染むデザインの大きなベッドが設置してあった。
「ふかふかだ…」
俺たちが暮らしていた地下の家のベッドとは比べ物にならないくらい立派なベッド。ベッドの大きさも、部屋の綺麗さも、洋と和の違いはあるが仕事で利用していたホテルにかなり近い。
「……」
居間の隅に荷物を置き、俺はもう一箇所のふすまに手をかけた。たてつけの良いふすまはスーッと心地よい音を立てて滑っていく。
「わ、すごい…」
ふすまの向こうに広がっていたのは小さな庭だった。ここもさっき見てきた庭の一部なのかもしれないが、離れから見るためだけに整えられた庭は特別な雰囲気を醸し出している。
なんだか、もの凄いところに来てしまった。これからどうなるんだろう。
縁側に腰を下ろし、青々と眩しい庭を眺めていると心地のいい風が頬と髪をくすぐっていった。
長かった日もだんだん短くなり、夕焼け空の色が季節の変わり目を告げる。ぼんやりしていたらあっという間に時間は過ぎて、夕食の時間がやってきた。
「それでは、どうぞごゆっくり」
三國さんが持ってきてくれた食事も、それはそれは豪勢なものだった。
限られた食材で出来るだけ美味しく、そんな生活をしていたあの頃とはまるで比べものにならない豪華な献立。綺麗に盛り付けられた料理はどれもプロの料理人が作ったもののようだった。
「…おいしい」
ゆっくりと箸を進めながら料理を味わう。盆の上の皿が空になり、三國さんから言われたところへ食器を下げようと立ち上がると、外から誰かの足音が聞こえた。
その足音は扉の前で止まり、失礼するよの声と共に扉が開いた。
「こんばんは、ユキくん」
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