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自傷 2
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その日から平良さんは会っても一定の距離以内に近づいてきてくれなくて、ずっと他人行儀になったし、鷹さんはそんな僕たちの距離を見て心なしか嬉しそうにしていた
(あぁ、やっぱり僕には1人がお似合いなんだろうな
きっと皆それを望んでる)
そう思えば色々と腑に落ちる事もあって、僕はその考えの中に浸った
どうして平良さんが僕に優しくしてくれたか、なんて、考えたくもなかった
拒絶されるのが怖いから、自分から遠ざけた
とっくにこれがもう、隠せそうもないくらい大きくなってしまった恋心だって気づいていた
だけど、隠さないといけないのだ
僕はあくまでも鷹さんとお付き合いさせて頂いているのだから
この恋心は心の奥底にしまい込んでしまわないといけない
自分の手でさえも届かない奥底に押し込んで、二度と出てきてはいけないよ、と微笑みかける
食事の時は特に辛かった
必ず一緒に食べること、と鷹さんから言われていて、逃げることができないからどうしても顔を合わせなくてはいけなくなる
その度に心が痛んで泣いてしまいそうになる
最近は気を利かせて平良さんではなく、他の従者の方が僕の部屋にきて掃除やら着替えをもってくるやらしてくれるからまだ楽だった
だけど、部屋にノックの音が響く度に少し期待してしまう自分がいて、そんな自分が嫌いになった
ふとした時にあの綺麗な手の温もりを思い出して勝手に辛くなった
だから、助けに来てくれる事を願って、僕は自分自身を傷つけた
血を流していたら、また、止めに来てくれるんじゃないかって思ったんだ
仕方ないでしょ?
だって、助けて、なんて言えない
もう捨てられたくないんだ
傍にあったハサミを手首に押し付け、優しく右に滑らせる
それだけで肌はパックリと割れ、血がドクドクと溢れ出した
『・・・・・・っ』
いくら傷が治るといえども痛覚は普通にあるのだから、痛いに決まってるのに、なぜかこの行為は止められない
床にぽたぽたと血が落ちて木に血が滲む
同時に水も床に落ちてシミを作った
治ってしまうことが怖くて何度も手首を切りつけた
その度に自分の喉から呻き声が聞こえた
痛みから涙は止まることを知らずにこぼれ続けた
段々と目の前が霞んできて、僕はいつの間にか意識を飛ばしていた
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