アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
変化 3
-
変な音を立ててぐったりと腕を投げ出した美郷をみて凍りついた
あんな折れそうに細い子が鷹様のような力の強く、しかも制御できない人間に思いっきり絞められたらそれはそれは痛いだろうに、握られた場所が首ときたらそれはひとたまりもないのは火を見るより明らかだった
嫌な汗が背中を伝い、俺は鷹様を美郷から引き剥がすと、なるべく動かさないように横抱きにして美郷の部屋へ運んだ
先程からピクリとも動かなくて死んでしまったのではないかと不安で不安で仕方なくなるが、胸のあたりに手を置けば確かに心臓は動いている
それに、さっきから美郷の喉がミシミシと小さく音を鳴らしている
(これが話に聞いていた再生の瞬間なのか・・・。)
それに合わせて少しずつヒュ、ヒュ、という呼吸音が響いて、美郷が健気にも頑張って生きようとしている事が十分伝わってくる
だから、俺も美郷を信じて待っていた
震える手を美郷の手に重ね、自分の体温を分け与えた
・・・
俺は一目見た時から美郷に惹かれていた
緊張したように引き結んだその口も、不安の色を孕んだその瞳も、震える睫毛も、全てが愛おしいと思ったんだ
「美郷を、救って欲しい」
この家に来る前にそう頼んできたのは紛れもない鷹様だった
自分が美郷を愛していること、そして、だからこそ酷いことをして苦しんでいる表情を見たくなってしまうこと、過去にしてしまったこと、全てを自白された時の複雑な気持ちを俺は今でもすぐに思い出せる
だけど、救いたいと思った
救えるのは俺だけだと思った
のに
いつの間にか美郷に恋をしてしまい、その結果彼を傷つけることになってしまった
それが、悔しくて、でも、どこか嬉しくて
俺が触れる度にどこか嬉しそうに照れている美郷を見ていると可能性があるんじゃないか、なんて考えてしまって
彼を助ける、なんて約束を、契約を忘れていつからか彼に夢中になって
(どうしてこうなることを予測できなかったんだろう)
頭に浮かぶのは後悔ばかり
それでもあの甘い日々を捨てたくはなくて
美郷もそう思ってくれてるといいな、なんて考えてしまっている
それどころじゃないのに
生死を彷徨う美郷を見て、そこに自分が立ち会えていることに少しの安堵感と嬉しさがまざっている
なんて、酷く歪んだ性格
なにが、助ける、だ
助けられているのは自分じゃないか
少しずつ呼吸が落ち着いてきた美郷の頭を精一杯の優しさを込めて撫でた
ーーせめて、今この瞬間だけは幸せに思って貰えるように
安心して眠られるように
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
27 / 37