アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
秘密の過去3
-
「美郷、お前の両親が今どこにいるか知ってるか?」
『・・・・・・分かりません』
「拘置所だよ。刑務所」
『そん、な』
心配で美郷を見遣る
彼は顔を真っ青にして俯いていた
さっきよりも強く手を繋ぐ
俺の体温を分けてあげないとと思うくらい彼の体温は下がっていた
もうこんな残酷な話はやめた方がいいだろうか
「今日はここまでにしよう。顔が真っ青だよ」
『え、や、・・・でもっ』
「大丈夫。俺たちはこれからもずっと一緒なんだからいくらでも話す時間はある」
俺はずっと"憎かった"美郷の頭を優しく撫ぜた
出会う前は本当に憎かった
嫌いだった
だって姉さんを殺したやつらの息子なんだ
息子は関係を無いと分かっていても、奴らの血を引く息子に嫌悪感しかなかった
美郷は何も悪くなかったのに
でも出会って変わった
本当に可愛いと、大切にしたいと思うようになった
あからさまに嫌そうな顔をして食卓に顔を出した美郷は俺をみるなりド緊張した面持ちに変わったよね
俺はそんなお前を可愛く思ってしまったんだ
きっと演技だろう
あんな両親から綺麗な心の子供が産まれるわけがない
距離を詰めたら本性を現すだろうか
そう思って紳士を装って奉仕してもお前は戸惑うばかりか不安そうに眉を顰めていた
だから嫌でも分かってしまったんだ
お前が悪いやつじゃないって
近づけば近づくほど好きになってしまった
かなり年下の傷だらけの心を抱えた、そして姉の仇の両親を持つ子に恋をしてしまった
鷹さんと付き合っているのは知っていたのに、奪いたいと思ってしまったんだ
蛙の子は蛙、だから人殺しの子は人殺し
そんなのは勝手な俺の決めつけだった
だってこの子はこんなにも優しい子
何も知らずに日々を怯えて過ごしていた可哀想な子
不安そうに俺の袖を掴みながら眠りについた美郷の前髪をそっと梳く
柔らかくて綺麗な髪
あの両親とは全く違う色に染まった髪の毛
いつまでも姉の死を引き摺っている俺を引っ張ってくれた美郷の手を袖から外して、代わりに俺が握る
この子が少しでも安心して眠れますようにとそっと額にキスを落とした
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
36 / 37