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* Sweet.1 *
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言って茅野は指でコの字をつくってみせる。
その隙間が物足りなくて、夕里は頬を膨らませる。
「あーあ、もっと心配させてやればよかった!」
夕里はぷんぷん怒りながら、茅野より一歩先を歩く。
余裕っぽさを崩せると目論んだものの、期待外れだったようだ。
歩道橋の階段の辺りまで来ると、後ろにいる茅野が「ちょっと待って」と夕里を呼び止める。
どうやら靴紐が解けてしまったらしく、屈んで結び直している。
「夕里、ちょっと手貸して」
「はい……?」
まさか立ち上がれないのか。
怪訝に思いながらも、手のひらを差し出すとぐいっと力強く引っ張られる。
支えるどころか、小さめな体躯の夕里は簡単によろめいてしまい、顔から地面に転びそうになった。
ふに……と、柔らかい感触が唇にあたる。
湿っぽく生温かい感触が次いで、夕里の唇を覆った。
「な、な……何すんだよ!」
「嫌いばっか言われてむかついたから」
「甘っ」と顔のすぐ近くで呟いた後、茅野が離れていった。
──本っ当あり得ない……!
仕返しが成功した茅野の足取りは軽い。
夕里は濡れた唇をごしごしと何度も拭くと、長く伸びる影を追いかけて、軽く蹴りを入れてやった。
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