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患者の様子は安定していて、胸を撫で下ろした。
よし、帰れる。
雑務を終わらせた後、院内のコンビニへと向かった。
日曜だからか、利用客は少ない。
目当てのチケットを発券し、弁当を2人分買い込んだ。
スマホを確認すると、甲斐くんからは何も来ていない。
つまり、まだ夢の中にあるらしい。
・・・全く、眠り姫かよ。
とはいえ、甲斐くんを回収した後は寝かせるつもりはない。
甲斐くんには悪いが、月曜日は休んでもらう気満々だ。
自分もそうだが、甲斐くんも社畜系男子だ。
たまには、ズル休みをしてもバチは当たらないはずだ。
・・・俺は無理だけど。
ブラック企業的な働き方をしている自覚はある。
だが、そもそも命を救いたいと医者になったのだから、後悔はない。
願わくば、なり手の少ない外科医が、もっと増えてくれれば嬉しい。
常に人材不足で、満身創痍。
ひとりひとりにかかる負担が、激烈。
病院を後にしながら、空を見上げた。
せっかく世界は綺麗なのだと気付けたんだから、甲斐くんとふたりで健康で幸せに過ごしたい。
選んだ仕事に後悔はないけれど、改善されていけば良いなと思う。
・・・到着する頃には、起きててくれるかな?
メシを食わせたら、いくつか確認をしなければならない。
それと、自分ん家に帰る。
甲斐くんと暮らすには、手狭な部屋だ。
学生時代から過ごした部屋だが、そろそろ新居を探す時期に来たらしい。
豪華じゃなくても良いから、プライバシーが守れるところ探そうかね。
幸い、不動産関係者はウジャッと病院にやってくる。
金のあるところには、投資話を含めて、そういった営業がやってくるのだ。
来週はいつもに増して、忙しくなりそうな予感しかしない。
ま、幸せな忙しさなのだから、歓迎だ。
「お。」
甲斐くんが起きたらしい。
可愛い言葉が送られてきた。
『おはようございます。山野さん、どちらですか?逢いたいです。』
俺も。
俺も甲斐くんに逢いたいよ。
『今、病院から帰ってるところ。メシ買ったから、良い子で待ってて。』
『待ってます!昨日はごめんなさい!』
ふふ。
『その話は、メシ食ってから。』
ああ、そうそう。
『うちに帰ってからね!』
『はい!』
帰る頃には、届いているかな?
昨日、ポチッたブツが置き配されているはずだ。
・・・楽しみにしててね、甲斐くん。
そんなわけで、俺はウキウキしながら甲斐くんのアパートへ急いだのだった。
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