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神屋を見る。俯いてた。髪が長いから、表情はよく見えないけど。
「…おーい、大丈夫かー」
声をかけてみる。
「………」
…返事なし。
まあ、いっかと思って、「ま、きいつけて帰れよー」とだけ言って帰ろうとすると、服の袖をギュッと掴まれた。え、何?
「……ん?何?」
「……、ん…」
「ん…?ごめん、聞こえなかった、何て?」
神屋は、顔を上げた。その顔は
「…ごめん……」
真っ赤で、目に涙を溢れそうなくらい溜めてた。
「え、ちょっと、大丈夫…?」
いや、びっくりなんだけど、泣きそうなことにもだけど、神屋がこんな顔することにびっくりしてるんだけど。
だって、こいついっつも眉間にシワ寄せて、不貞腐れたような顔で死んだ魚の目してるのに。
神屋の意外な一面に俺は不覚にも、可愛いな、と思ってしまった。
「…、大丈夫、ありがと…」
そう言って、セーターでゴシゴシと目をこする。あーあー、腫れちゃうぞ。
そんな神屋の頭を撫でる。なんかわからんけど撫でたくなった。だって小動物みたいなんだもんこいつ。不思議そうな顔をしてる神屋に、
「……送ってくよ」
「………え」
そう言ったら、ポカンとした顔をされた。
だって、この状況で送っていかないのはやっぱ男じゃないだろ。いや、神屋男だけど、もうこんな今にも泣きそうな顔されたら、心配だろ。
「家どこ?」
「…緑地公園の近く…だけど、いいよ、もう1人で帰れる」
「あ、俺んちと近いじゃん。やー、やっぱ心配だし、また誰かに絡まれたらどうすんの」
「…どうにかする」
「いやお前のその身体じゃ無理だろ。とりあえず送るから、これ決定な」
「強引だなお前…」
強引だよ、別にいいだろ。実際神屋の身体は細い。身長はそこそこあるのに、体重は全然なさそう。死にそうだなこいつ死ぬんじゃね?
結局、神屋なしぶしぶとでもいったような感じで俺のお見送りを許可してくれた。
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